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108話 ☆3『ポーション製作』⑤(完成)

「魔水6に薬草エキス4で…………お、色はほとんどポーションと同じだ!」


「どれどれ……これは惜しいんだよ。魔水がほんの少しだけ多いね、これでは回復する効果が基準より弱いから売り物にならないんだよ。もう1、2回作り直すだけでポーションは完成すると思うんだよ」


「……はい」



 濃縮器で魔水の濃度を上げているせいで、アオたちに比べたら少ない数のポーションしか作れないのに、失敗が続いていた。



「そろそろ成功してほしいけど魔水が足りるかどうか……あ、濃縮した魔水が足りない、新しく作らなきゃ」



 濃縮器に魔水を入れスイッチを押し、魔水の濃度を上げていく。出来上がるまでやることは無いので、アオやコカの作っている所を見に行った。



「アオはどのくらい作ったの……って、凄い数のポーションだね」



 アオの机には10本以上のポーションが出来ているのに、魔水も薬草エキスもたくさん残っていた。



「あ、シンくん! 凄いよね、僕の魔水が薬草エキスと相性が良いのか簡単に作れるし、普通のポーションより回復効果が強く出ているみたいなんだって」


「なんとなく分かるなー。アオは魔物を倒したりするより、みんなの後ろで支援している方が向いてそうだもんね。そんなアオだから回復アイテムのポーションを作るのが得意なのかな?」


「そうかな? そうだと良いな」



 アオは笑いながら照れている。俺はそんなアオの横を通り過ぎコカの所へ向かった。



「コカさんはどうですか?」



 コカは俺の方をチラッと見ると、机に手を伸ばして両手に1本ずつポーションを持って俺に見せている。



「2つ……」


「2つも出来ているんですね!」



 俺が褒めると、コカは目を閉じ横に首を振る。どういうことかと思っていると、他の冒険者たちの机に顔を向ける。


 彼等の机には完成されたポーションが5つ以上作られていた。



「……なるほどね」



 現在この部屋で1番ポーションが出来ていないのは俺で、その次にポーションが出来ていないのはコカだった。


 以前『鉱石調達』のクエストにコカたちとパーティーを組んでいたときには、アオより魔法が得意なように感じていた。


 アオがポーションと相性が良いように、コカはポーションと相性が悪いのだろう。そうやってみんなの作業を見ていると、濃縮器で濃縮していた魔水が溜まってきたようだ。



「じゃあそろそろ俺は戻りますね、お互い頑張りましょう!」


「うん……」



 コカはそう言うと俺から目を離し、ポーション作りに集中し始めた。






 俺も自分の机に戻ってポーション作りを再開する。濃縮された魔水を容器に入れていく、量を増やしたからか魔水5と魔水6の間に合わせるのが難しくて、多く入れすぎたり、少なくしすぎたりして、調節が大変だった。



「これで5.8くらいかな? 何回も入れたり戻したりしたから慣れてきたぞ……あれ、もしかしてだけど、あの方法なら少ない材料で完成品ができるかどうか分かるんじゃ……」


「シン君、ポーションの出来具合はどんな感じかな?」


「サイエンさん、今からやるところです」



 サイエンに話しかけられたので、先ほど思いついた方法を記憶の片隅に追いやり、魔水と薬草エキスを混ぜ合わせていく。出来上がったポーションは今度こそ見本のポーションと同じ色をしているように見える。



「どうですか?」


「……おめでとう、ちゃんとポーションとして性能があるものが完成しているよ」


「やったぁ!」



 俺はやっと1本完成させることが出来て一安心だ。今回のクエストは最低でも1本のポーションを完成させなきゃいけなかったから、もしこのままポーションが完成しないで終わったらどうしようかと心配だった。



「それじゃあシン君はもう片付けを始めて良いんだよ。残りの魔水じゃポーションは作れなさそうだからね」


「分かりました」



 サイエンは他の冒険者の所に行って色々言っているようだ。そんな後ろ姿から目を離し、片付けをする前に気になったことを実験するため、残った魔水を捨てるのではなく、容器の中に少量だけ入れた。


 入れた量は魔水1といったところだ。薬草エキスも魔水と同じように1だけ入れた容器を用意する。


 それを混ぜ合わせると、魔水と薬草エキスを5:5で混ぜ合わせたときと同じ色のポーションが出来上がった。



「やっぱりそうか。量は違っても比率は同じだから同じ結果になると……もしこの方法をもっと早く思いついていれば、あと1つ2つポーションが作れたかもしれないな。でも今後は似たようなものを作るときに少ない量で正解を見つけられそうだ」



 俺はそう呟いて片づけを始めた。






 余った魔水や薬草エキスはもちろん、煮てエキスを出し切った薬草も捨てる。容器や魔法石も綺麗に水で洗い、特に魔法石は洗って付いた水分を布で丁寧に拭きとっていった。


 濃縮器を片付けようとするとティストが俺に話しかけてきた。



「濃縮器を片付けに行くんだね、あそこは危ないものばかり置いてあるから毎回鍵をかけているんだ」


「そうなんですか? じゃあこの濃縮器はどうすれば……」



 俺がそう言うとティストはニヤッとした表情を浮かべ、白衣のポケットから鍵を取り出した。



「サイエンの代わりに開けるから心配いらないよ。行こうか」



 こうして俺はティストに鍵を開けてもらって濃縮器を元の場所まで戻した。その道中、今日あったことの感想や、サイエンの印象はどうだったかなどと話しながらだったから、気まずくはなかった。


 薬草などの素材を運んでいたときから、ティストはなんとなく話しかけやすい雰囲気があった気がしていた。


 話しているとあっという間にみんなのいる所まで戻ってくる。みんなも素材が無くなったのか片付けをしていた。俺はアオやコカや他の冒険者が綺麗にした用意を箱にしまう手伝いをしながら、みんなの片付けが終わるのを待っていた。






「みんなご苦労様なんだよ。今日は私のクエストを選んでもらえて嬉しかった。それじゃあ今日の成果を確認するんだよ。シン君はポーション1つ……そこの胸の大きい君は……」



 サイエンはポーションを完成させた数が少ない順に1人ずつ作った数を確認していく。


 やっぱり俺の次に来るのはコカだった。結果は3つみたいであまり完成できていなかった。他の冒険者は数個の違いはあったけど、10を超える数のポーションを作っていた。


 そして最後に呼ばれるのは。



「アオ君はポーション30個、今日初めて作ったんだよね? それでこの数なら凄いと思うんだよ」


「凄いねアオ!」


「いやそれほどでも」


「凄い……」


「はわぁっ! だからコカさん胸を押し付けないでぇ!」



 アオはみんなから褒められて照れて赤くなっていた顔が、コカが抱き着くことで更に赤くなり慌てている。



「もしまた私たちがクエストを募集したら、君たちにお願いすることがあるんだよ。そのときは多めに報酬を出すからぜひ来てほしいんだよ。もちろん断っても問題ないけどね。それじゃあ改めてご苦労様」


「「「ありがとうございました!」」」



 みんな一斉にサイエンやティストにお礼を言うと魔法薬製作室から出て行った。そしてギルドの受付で報酬をもらっている。






 俺の番が回って来たのでハンナさんにクエストクリアの報告をする。



「ハンナさん、クエスト終わりました」


「シンさん、クエストお疲れ様でした。シンさんが製作したポーションは1つとギルド職員が確認しています。こちらが報酬金となります」



 俺は50GP(ギルドポイント)を受け取った。


 ギルドカードだけを渡されることが久々で新鮮だった。



「それじゃあシンくん、またクエスト一緒に行けたら行こうね!」


「そうだね、今度はハクやユカリも誘おうね!」


「うん! ユカリちゃんももう元気になっているし、みんなで行こう! またよろしくね」


「コカさんもまたクエスト一緒になることがあったらよろしくお願いします!」


「うん、またね……」



 こうしてアオとコカは帰っていった。


 俺たちの他に一緒にポーションを作っていた冒険者たちは、別れの挨拶をする前にいなくなっていたので、俺は帰ることにした。


 こうして俺の1日が終わるのであった。

ポーションを1つ作るのに成功した。


アオはポーションを作るのに向いているようで、たくさんポーションを作っていた。


少ない素材でも混ぜる比率が同じなら同じ結果になることが分かった。


サイエンたちから今日来た冒険者をクエストに呼ぶかもしれないと言われた。


アオと分かれる直前にユカリが元気になっていると知れた。

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