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101話 ☆2『ウッドォ討伐』①(火羽)

 目を覚ますと窓から光が差し込んでくる、今日も良い天気みたいだ。俺は布団を片付けて、窓から街の人々の様子を眺めていた。歩いていたり話していたり、楽しそうに過ごしていて昨日と変わらない平和な日常がそこにあった。



「はぁ……魔王幹部が街に入っていたというのに、街のみんなは変わらない生活をしているな……俺も昨日までは平和と思っていたから何も言えないけど……」



 俺は昨日の魔王幹部との戦闘を思い出していた。いや、戦闘とも呼べない一方的な力の差だった。これまで戦ってきた相手とはまるで違う、傷を負う前から動けなくなるなんてことは無かった。動けさえすれば対策を考えられるのに、それすら許されない圧倒的な差。


 俺は大きなため息をついた後、顔を両手でパチンと叩き気持ちを切り替える。



「よし! 今日はクエスト頑張って気分を晴らすぞ」



 武器を装備して朝食を済ませて、俺はギルドに向かった。






「今日は冒険者がそこまで多くないみたいだね」



 ギルドの中は昨日に比べて冒険者は少なかった。それでも掲示板に貼られているクエストの数は少ないので、ほとんどの冒険者はもうクエストを受けてしまったのだろう。


 誰かにクエストを取られてしまわないように、掲示板に近づき俺ができそうなクエストを探していく。



「今日はあまりいいクエストがないな……」



 俺が色々探していると、2階からぞろぞろと冒険者が降りてくる。その中には見知った顔の人も混ざっていたので声をかけた。



「ナーゲさん!」



 ナーゲさんは俺の声を聞いて俺と目が合った。仲間と思わしき冒険者に何か伝えて俺の方に近づいて来る。



「シンじゃないか、どうしたんだ? 俺らはこれからクエストに行くから、用があるなら手短に頼むぜ。パーティーに置いて行かれちまう」


「たまたま見かけたので声をかけただけです、ナーゲさんみたいに強い冒険者たちが何のクエストに行くんですか?」


「あぁ……あんまり口外するなって言われているけど、シンなら良いか。こっち来い」



 ナーゲさんは人が少なそうな隅の方に俺を連れてくると、顔を近づけて話し始めた。



「俺たちはこれからキッタ村周辺の調査するクエストだ。魔王幹部がこの街に入って来たという情報をシンたちが持って来ただろ? それで、最初に襲われたキッタ村を俺たち上位冒険者が調べるんだ。このことは下位冒険者には知らされていない、知っているのは情報を持ってきたシンを入れた数人と聞いた」


「だから俺には話してくれるのですね」


「そういうことだ。くれぐれも俺たちのことは話すなよ、余計な混乱は避けなきゃならない」


「分かりました、黙っておきます」



 俺は手で口を塞ぐ仕草をしながらそう言った。ナーゲさんは聞かれたらマズイことを言わなくてもよくなったからか、俺から顔を遠ざける。



「よし、なら俺はそろそろ行ってくる。シンもクエスト頑張れよ! またな」



 ナーゲさんはそう言って駆け足でギルドから出て行った。






「行っちゃった……頑張れって言われたし、もっと頑張って強くならなきゃ! だったら受けるクエストは……」



 俺は掲示板の前に立ち、討伐系のクエストが貼られている所をよく見る。戦える力が弱く、まだ俺が行くべきではないと感じていた。でもこれからは魔王軍が来るかもしれないから、少しでも強くなるために魔物との戦闘をしなくてはいけない。


 そう思って俺は1枚のクエストを手に取って、受付のハンナさんの所に向かった。






「ハンナさんおはようございます。このクエストお願いします」


「シンさんおはようございます。このクエストですね、分かりました。クエスト内容を確認します」


 ――


 (ほし)2『ウッドォ討伐』


 クリア条件:ウッドォを5体以上討伐


 報酬金:250(ゴールド) 750GP(ギルドポイント)


 参加条件:(ほし)1から(ほし)3冒険者1人以上


 ~依頼内容~


 森に潜む木に化けたウッドォを討伐すること、討伐の仕方に指定はなし


 ――


「このような内容ですが、クエストを受けますか?」


「あの、依頼内容に書かれている『討伐の仕方に指定はなし』って何ですか?」


「それは文字通り、討伐の仕方に指定はなしということです。ウッドォは木の魔物なのをシンさんはご存じですよね?」


「はい、それは知っています」


「では、倒した魔物が姿を残したままになるのもご存じですよね?」


「はい、それも知って…………もしかしてそういうことですか?」



 木の魔物、倒しても姿が残る。ここから俺はあることを察した。かなり前だが冒険者学校の授業でやっていたことを思い出す。



「分かっていただけたようですね。そうです、ウッドォは木材として使えるのです。ですので、討伐の仕方に指定はなしとは、木材として使わないので木材としての価値が下がる討伐していいということです」

「なるほどそういうことだったのですね!」


「私からのアドバイスは火で攻めることです! シンさんは火属性の攻撃を持っていなかったはずですので、隣の道具屋で火属性の攻撃ができるアイテムを揃えることがお勧めですよ」


「ありがとうございます、参考にしてみます! あ、言いそびれちゃいましたが、クエスト受けます」


「それではクエストを受注します。クエスト頑張ってくださいね」


「頑張ります!」






 俺はすぐに隣の道具屋で火属性の攻撃に使えそうな道具を探していた。どういうアイテムがそれなのか分からずに色んな所を見ていると、道具屋の店員に話しかけられた。



「話は聞いていましたよ、火属性の攻撃ができるアイテムに興味があるんですね」


「おわっ、ビックリした! あれ? この展開どこかで……」


「お久しぶりですねお客様、私とはレインコートをご購入いただいたとき以来でしたね。私がいない間に解毒薬もご購入していただき誠にありがとうございます」


「あぁ、あのときの店員さんか。レインコートすごく良くて買ってよかったです!」


「そう言っていただき私は嬉しく思います!」



 店員は嬉しくて泣いているようだ。だけど一瞬で泣き止んで接客に集中する。



「ではこちらはお客様のご希望の品でございます」


「これは?」


「こちらは、ファイアーバードの素材を加工して作られた使い切りのアイテム『火の羽』です。効果は魔法の『ファイア』と同じことが起こりますが、1度使用すると羽は燃え尽きて無くなります」


「なるほど、どうやったら使えるんですか?」


「それはこのように手で持って『ファイア』! と唱えると使え…………」



 店員の持っていた火の羽が急に赤く光り出し『ファイア』が飛び出してきた。



「うわぁ!」



『ファイア』は空中に放たれて天井にぶつかることもなく火の球と火の羽は消えていった。



「お客様! 大変申し訳ございません!」


「気にしないでください、元はと言えば俺が使い方聞いたばかりにこんなことになったので……それに今ので使い方が分かりましたから。ただこれ弱いですよね?」


「おっしゃる通りです、とても戦闘で使えるようなレベルのアイテムではないのです、しかし、お客様が戦おうとしている相手はウッドォ。あの程度の射程でも十分に通用いたします」


「まぁ店員さんが勧めてするくらいだから役にたつんだろうな。値段はいくらですか?」

「値段は1つ50GP(ギルドポイント)です」


「それじゃあ5つください」


「お買い上げありがとうございます! 250GP(ギルドポイント)です」



 こうして俺は『火の羽』を5つ購入した。



「今後も何か必要なものがあれば、ぜひ私の道具屋をご利用してください」



 こうして俺はウッドォの出現する森に向かって移動を開始した。 

ナーゲさんたち上位冒険者たちは魔王軍の動きを調査するために、

最初に被害にあったキッタ村に向かったようだ。


俺は木の魔物ウッドォ討伐のクエストを受ける。


ハンナさんのアドバイスで道具屋で火属性の攻撃ができるアイテムを探し、

店員が持ってきた『火の羽』を5つ買った。


こうして準備が整った俺は森に向かう。



魔物の紹介


・ウッドォ


枯れた木のような見た目で、ギザギザの口をしている。森で確認されることの多い魔物で、周りの木に化けて生き物を襲う。枝を振ったり、噛みついて攻撃してくる。

見分け方は、葉がついていないことと根が地面に埋まっていないこと。


火属性の攻撃に弱いので、火属性(弱)のパッシブがある。

素材は、枯れた木材が手に入る。



アイテムの紹介


・『火の羽』


『ファイア』と手に持って唱えると勝手に発動する。

発動したら、飛距離の短い『ファイア』が放たれる。

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