10話 テスト!(簡単)
テストを表にして『シン』と名前を書いた。
問題は合計15問あるらしい、1つ1つ目を通していく。
問.1
スキルとは3つの総称です、その3つとは何でしょう。
問.2
魔力には9属性があります、何の属性があるでしょう。
問.3
魔法には3種類の詠唱があります、何の詠唱があるでしょう。
問.4
『剣・斧・槍・弓』この4つの武器で1つだけ仲間外れを作ってください。
その理由も説明してください。
問.5
『ウッドォ』という魔物は、何属性が弱点でしょう。
問.6
『ファイアーバード』という魔物は、何属性が弱点でしょう。
問.7
魔物には強個体と突然変異種がいます。それぞれ何体に1体現れるでしょう。
問.8
『ゴブリン』という魔物は、1体で現れるのと集団で現れるのはどちらが多いでしょう。
問.9
魔法の『ファイア』は何属性の魔法でしょう。
問.10
魔法の『ウィンド』は何属性の魔法でしょう。
問.11
『薬草』を素材にしてできるアイテムに『ポーション』があります。
では他に『薬草』を素材にしてできるアイテムは何でしょう。
問.12
『ポーション』は1本200mlあります。冒険者は1日で1350ml飲めるとすると、『ポーション』を1日に何本飲むことができるでしょう。
問.13
クエストの難易度に『下位・上位・最上位』と大まかに分けられています。それぞれの☆の難易度はいくつでしょう。
問.14
上位の冒険者は下位のクエストを受けることができるでしょうか。
問.15
この街の名前は何でしょう。
(…………今までやってきたことを覚えているかって感じの問題だね。これならみんなもテストは大丈夫だと思う)
問題を見て安心したシンは、テストに集中する。
(問.1の答えは『魔法・技・パッシブ』っと。この3つを合わせたのがスキル。これは最初の授業で教わったことだから覚えてる)
(問.2の答えは『無・火・水・雷・土・風・光・闇・星』の属性。星属性がどんなものか分からないから、すぐには思い出せなかった)
(問.3の答えは『完全詠唱・省略詠唱・無言詠唱』の詠唱だ。完全詠唱と無言詠唱はまだ見たことないけど……)
(問.4の答えは『弓』を仲間外れにする。理由は『剣・斧・槍は近接武器で弓は遠距離武器だから』)
(問.5のウッドォは『火属性が弱点』)
(問.6のファイアーバードは『水属性が弱点』)
(問.7の答えは強個体が『数百体に一体』で、突然変異種が『数千体に一体』である)
(ふぅ……これで半分っと……みんなはどうしてるかな)
カンニングを疑われると困るので、音を頼りに周りの状況を確かめる。リクが座ったところからはたまにペンの擦れる音は聞こえてくる。続いてアオ、ハク、ユカリのところの音を探る。みんなはスラスラと書いていく音が聞こえた。
(みんなは順調にテストを受けているね。続きをやるか)
(問.8のゴブリンは『集団で現れることが多い』だね。町の外に出て、ゴブリンとの戦闘後に言っていたことは印象に残っている)
(問.9のファイアは『火属性』)
(問.10のウィンドは『風属性』)
(問.11の答えは『マジックポーションと解毒薬』っと。薬草からこんなアイテムが作れることが意外だったな)
(問.12の答えは『6本』だね。ひっかけ問題なのかな?7本だと1400mlで、この冒険者は1350mlしか入らないから1本減らして6本。しかし、あらためて考えると200mlのポーションって飲みづらいな)
(問.13の下位は『☆1~☆3』で上位は『☆4~☆6』で最上位は『☆7以上』)
(問.14の答えは『受けることができない』)
次で最後の問題である。町の名前を答える問題だが、授業でそんなことを教えてもらった記憶が無い。
(どこで教えてもらったんだ?思いだせ……思い出すんだ!)
必死に思い出そうと唸る。その間にも時間は過ぎていく。
(……!……確か、女神様の名前を町の名前にしてるって学校まで案内してるとき言っていた気がする。だとすると答えは!)
シンは最後の問題の答えを書く。
(問.15の答えは『アルン』)
書き終わって少ししたらテスト終了との声。簡単だと思っていたら最後にとんでもない問題が紛れ込んでいた。無事に町の名前を思い出すことができて胸を撫で下ろす。
「テストお疲れ様でした。みなさんはテストを私のところまで待ってきてください。渡したら自由にして良いですよ」
ぞろぞろと立ち上がり列を作りだすテストを渡して教室を出る生徒たち。俺たちは教室に残りテストがどうだったか話し合う。
「みんなテストはどうだった?」
俺はそう話しかけた。
「シンのおかげでバッチリできたぜ!」
「……シンが予想した問題が出て助かった」
「シンくんの勉強会のおかげで空白を作らなくてすんだよ。ありがとう」
「シンくんに勉強を教えてもらって助かったわ」
みんなからの賞賛の嵐。
「みんなの役に立てて嬉しいよ」
俺は笑顔で返した。
――
「ランドさん、今回のテストはいかがですかな?」
「今回もほどほどといった感じですよ」
先生たちはテストの採点をしながら楽しげに話しをしている。ふと目をやると満点のテストを見つけた。
「ほぉ、満点の生徒がいるなんて珍しいですね。この生徒はどんな子なのですかな?」
「この子はシンくんと言い、入学時に適性が0だった子ですよ」
「なんと!……あの子がこの成績……信じられんな」
驚く先生にありのままの事実を伝える。
「私も信じられませんでしたが、外で擬態した魔物を見つけられることから、知識の物覚えは良いみたいです。それに教えるのも上手い」
ランド先生はリクとハクとアオとユカリのテストを並べる。
「これはなかなか高得点ですな。あのリクという子も……」
「私もリクくんの高得点には驚きました。彼の実力は冒険者になっても十分ですが、魔物やスキルやアイテムの知識に難があり、このままでは簡単なクエストで失敗をすると思い、今まで冒険者にはせずに残ってもらっていましたね」
ランド先生は口角を上げる。
「でももう彼は冒険者になっても大丈夫でしょう」
そう言い、リクが冒険者になるための手続きを始めるのであった。




