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第5話 もやもやする



神様になってから10日が経過した。

この間、ジッと世界を見ていたがさすがに飽きてきた。何せ、ただ見ているだけなのだから飽きるのも当然だろう。


この前見ていた『ガブラン王国』は、王が捕らえられてから2日後には王族全員が首を刎ねられ新しい国が誕生していた。

新しい国の名は『ニーブラン王国』という。


「でも、この10日しか世界を見てない俺が言うのもなんだけど。

代を重ねていくごとに腐っていくんだろうな……」


そうつぶやく俺の見ている画面には、新しい王国の誕生を祝う人々の笑顔が映っていた。

……ため息を吐くと、俺は別の画面に変えていく。



世界のあちこちで、生まれては死んでを繰り返している。

それは生物しかり、自然しかり。

傍観者でしかない俺は、何も手を出すことができないのだ。初めは楽ができて楽しかったのだが、そのうち傍観者でいられない場面も出てくる。


助けたい、力を貸したい、俺ならばと考えてしまうけど、今の俺には何もできない。

神に祈りをささげてくれる人たち、魔物の中にも神に祈りをささげるものもいるがその祈りは果たして届いているのだろうか?


………確かにこの神のジレンマは、いい勉強になる。


本物の神になるころ、俺はこのジレンマを克服しているのだろうか?

それとも、心が壊れて神から邪神になっていたらどうしよう……。




ビィーー、ビィーー、ビィーー。


俺なりに、いろんなことを考えながら世界を見ていた時、画面に赤い警告の文字が警告音とともに浮かぶ。


「クロエ、この警告は何だ?」


「待って、今調べる」


クロエは両手を動かし、画面を操作すると赤い枠の画面が現れ、俺の前に移動してきた。


「これが、警告画面。原因はここ!」


クロエが指さした画面の一部が拡大される。

その拡大された画面には、何もないはずの空間から銀色の丸い物体が出かかっていた。

大きさは、軽ワゴンぐらいある。


「外世界からの干渉か? 無理やりこの世界に入ってこようとしているのか……。

クロエ、こういう時はどう対処すればいいんだ?」


「私たちは何もしない。ただ、こいつが開けた穴をふさぐだけ」


やはり何もできないか……。

この物体が、無理やりこじ開けながら入ってこようとするのはわかる。

何せ、放電現象が起きているからな…………あ、抜けた。


「どうすれば穴をふさげるんだ?」


「ゴッドポイント交換リストから選べばいい」


クロエの助言に、すぐにゴッドポイント交換リストを出すと、項目を探していく。

え~と、え~と、え~と……。


「これか? 『空間修復』外世界と管理世界にできた穴を修復します。 これだな!」


俺はすぐに、空間修復をゴッドポイントと交換する。

すると、修復場所を示してくださいと出た。


「修復場所って、画面に映っている外世界との穴を触ればいいのか?」


そう思って画面の穴を触ると、触っている場所が修復されていく。

クロエの前にある画面にも、外世界との穴が見えていたが、それも治っていっている所を見ると修復成功のようだ。


修復が完了すると、警告画面は通常の画面に戻り「チャリン」という音が聞こえた。


「クロエ、今聞こえた『チャリン』って音なんだ?」


「それはゴッドポイントがもらえた音」


……そういえば忘れていたけど、『空間修復』ってゴッドポイントいくらだ?


空間修復    100P


良かった~、リーズナブルな消費ポイントだ。

こんなことが、頻繁に起きていたらすぐにポイントが無くなってしまいそうだけど、このくらいならまだ大丈夫だな。


「クロエ、外世界からの侵入ってよくある事なのか?」


「それは、まずないから安心。でも油断大敵」


俺の持ちポイントは、1910ポイント。で、さっき入ったポイントは……。


「あれ? ……クロエ、俺の『ステータス』に表示してあるGPいくつになっている?」


「21910になってる」


……く、空間を修復しただけで2万ポイントかよ!

魔王解決で1万ポイントだぞ? もらいす………待てよ。

もしかして、外世界からの侵入ってそれだけ大事件ではないだろうか?


外世界と管理世界にできた穴の修復だけで、こんなにポイントがもらえるのなら侵入してきた奴ってとんでもない力を持っているのでは……。


侵入してきた銀色の丸い物体はまだ動きを見せていない。

俺の鑑定上位の神眼スキルでも、詳細を知ることはできなかった。


俺はすぐにゴッドポイント交換リストを出すと、今必要なものを探し出す。


信仰の神とのホットライン(創造神)    1000P

信仰の神とのホットライン(上位神)     900P

信仰の神とのホットライン(中位神)     700P


どれも高いけど、今は創造神とのホットライン一択だ!

ゴッドポイントと交換すると、俺の座っている椅子の右横に受話器が出現する。


「ホットラインなだけに、赤い受話器か……」


すぐにその受話器をとると、創造神につながった。


『はい、もしもし』

神様も、もしもしって言うんだな。


「創造神? コージです。

緊急の用事が出来た時のために、ホットラインを作ってみたけどどう?」


『机の上に赤い電話が出現してびっくりしましたよ。

でも、これは便利ですね』


「でしょ? それはそうと、さっき外世界から侵入してきたモノがあるんだよ」


『こちらでも先ほど感知して、今捜させているんです。

コージ様は、場所はわかりますか?』


「ちょっと待ってね?

クロエ、画面からこの銀色の侵入物の場所って特定できる?」


「…できた。 ニューブレン大陸、北西の森の中。切り立った崖が1キロほど続くその先にある」


「聞こえたかな?」


『はい、しっかりと聞こえました。すぐに捜索している者に伝えます』


「侵入物の対処については、君たちに任せてもいいかな?」


『はい、私たちにお任せください』


「では、よろしくね」


受話器を元の位置へ戻すと、銀色の物体が映る画面に目を向ける。

いまだ動く気配はないが、いったい何なのかな?


「クロエは、あれの中身はわかっているの?」


「昔の資料によれば、物体だったり生物だったり様々らしい」


その時々によって違うというわけか。

それと、この世界の管理者は前任がいたんだね。まあ考えてもみれば、いきなりなりたての神に管理を任せようとするんだから、用意される世界は危険のない世界になるわけか。


「クロエ、この世界の前任者ってどんな神か分かる?」


「この世界の前任者は、コージ様を神にした神様」


へぇ~、あの神様が前任者か。

ということは、俺の教育のためにこの世界を譲ってくれたのか……。


「あの神様、すごい神様なんだな……」


「そう、コージ様に管理していた世界の1つを任せてくれた」


……ん、ちょっと待て。


「管理してた世界の1つって、どれだけの世界を管理しているんだ?」


「今は6000世界ぐらい」


………6000のうちの1つを、俺に任せてくれたのか。

傍から見ると押し付けられたように見えるけど、この世界を知れば知るほど押し付けられたようには思えないよな。


管理の仕方とか、起こった出来事とかちゃんと資料として残してあるみたいだし。

あの神様、すごいわ……。



「神様、見て」


画面に映っていた銀の物体に近づく者たちがいた。

神眼で鑑定すると、信仰の神たちのようだ。どうやら創造神の捜索部隊のようだな。


俺とクロエが見守っていると、信仰の神たちは慣れた手つきで銀の丸い物体に近づき何やら操作する。

すると、銀色の丸い部分が消えて中身が出てきた。


中から出てきたのは、いくつかの箱?

信仰の神たちはその箱を、一つずつ持ち神界へ帰っていく。

……そして画面には、ただの森のの一部が映るだけとなった。


「……危険なものではなかったな」


「……」


なにかこう胸の辺りにもやもやすものがあるのだが、気にしないことにしよう。








早々と投稿できました。

次回6話も、早く投稿できると思います。

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