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第4話 世界を見てまわる



創造神へのあいさつも終わり、元の世界管理部屋に戻ってくると再び椅子に座り目の前の無数に移す画面の世界の様子を眺めている。


創造神たち信仰の神の住む神界へは、仮初の肉体が無くても行くことができるため、クロエとともにあいさつに向かったが、本来は俺が出向くことはまず無いそうだ。


このことは神界に行く前に、言葉遣いとともにクロエに教えてもらった。


「さて、挨拶も終わったしこの世界を眺めながら、詳しく調べますか……」


そして俺は、世界の様子を眺め始める。



無数に映し出しているカントの世界。

その中から、気になった画面をタッチパネルのように指で目の前に持ってくると、俺の動かす指に反応して見たい画面が動き目の前に来る。


「おお~、これは便利だ」


目の前の画面には、世界のどこかの湖が映っている。

しかし、衛星写真のように上から見ているため、どんな湖なのかさっぱり分からない。


「クロエ、これ視点を変えることできないかな?」


「指で画面を、上から下へなぞれば変わる」


クロエの言うとおりに、指を画面の上から下へなぞると視点が横からに変わった。


「まるで、スマホみたいだな……」


「スマホ?」


「ああ、スマートフォン。 略称がスマホ。

地球にあった携帯電話でね、全面がモニターになっていてタッチパネルになっていたんだよ。

俺はお金が無くて、持っていなかったけど……」


そう言えば、俺スマホも使えないまま神様になったんだな。

それに、地球には続きが読みたい本もあったし、したいゲームもあった。

……でも、お金がないからどうにもならないな……。


俺が考え始めたからだろうか、クロエが俺を見て質問してきた。


「地球に帰りたい?」


……一瞬、何を言われたのか分からなかったが俺の答えは決まっている。


「俺はこのまま神様でいたいよ」


クロエは満面の笑みを浮かべて、返事を返してくれる。


「そう」


そう、俺はもう神様になれたのだ。

経緯はともかく、俺の願いはかなえられた。

俺にはすでに家族と呼べる両親や兄弟はいない、結婚もしてなかったし……。


……そういえば、肝心なことを聞き忘れていた。


「クロエ、地球の俺が住んでいた家や荷物はどうなったんだ?」


「家は処分して、荷物は全部アイテムボックスの中にある」


処分ってどう処分したんだろう?

荷物は、アイテムボックスの中………あった!

大切にしていた思い出の品から、本にゲーム、家電や家具まである。


……財布はあるけどカードやお金はないな。

持っていた通帳もなくなっている………おや?

革でできた袋の中に、金貨や銀貨に銅貨がたくさん入っているな。


「んん? もしかして地球にあった俺のお金を全部、この世界のお金に変えてくれたのかな?」


クロエを見ると、頷いてくれてるからそうなんだろう。

でも、今のところ使い道がないからアイテムボックスにしまっておこう。


今まで貯めておいた本もあるし、ゲームもある。

これだけあれば、退屈することも無いだろう。


それに、今俺の目の前には、カントの世界の景色が見えているしな……。



「これは湖じゃなくて、湾のようだな……」


砂浜に寄せては返す海の水、湾岸沿いに目を向ければ象のような魔物が歩いている。

その奥には、山頂に雪を蓄えた山が見えていた。


「ここには、知的生命体の手が入ってないのか……」


「この世界では、珍しくない光景」


いいね~、地球にはない大自然がカントの世界には広がっているのか!

俺はワクワクしながら、いろんなところを見まくった。

カントの世界を旅行するように、山や湖、川や海、砂漠もあったし、大きな火山も見つけた。


また、魔物もかなりの数見ることができた。

高い山の上にいるドラゴンをはじめ、ゲームの定番のゴブリンやスライムなんかも発見する。


「こうして見ていくと、知的生命体が多くいるところの近くには、弱い魔物が多くいるんだな……」


「魔物は強くなればなるほど、食料がいらなくなる」


「それって、息をするだけで生きていけるってことか?」


「そう、ただし、食べる必要がないだけで食べれないわけではない」


それって、食べることがめんどくさいってことかな?

……いや、量を確保できないってこともあるのか。

あとは、飽きてきたとか?


う~ん、よくわからないから今後も観察してみよう。



分からないことを後回しにして、再びカントの世界を観察していると戦闘の場面に出くわした。

……これは、冒険者かな?


「クロエ、この人たちは冒険者かな?」


クロエが、画面に顔を寄せてじっくり見ていると…。

「違う、この人たちは兵士」


「どこの兵士かわかる?」


すると、クロエは両手を器用に動かしながら画面をいじくっていく。

そして、ある光景で手を止めた。


「ここ『ガブラン王国』の兵士、着ている鎧が同じ」


うん、確かにさっきの兵士と同じ鎧だ。

しかし、大きな町のあちこちの家が燃えている。

俺も指を動かして、景色を変えるのだがどこも同じように燃えている。


さらに人の死体や、いまだ戦っている兵士やこれは騎士かな?

さらにさらに景色を変えていくと、お城にも火が燃え広がっていた。


「……これは、すごい場面に出くわしたな」


ガブラン王国が戦っている相手は………同じ鎧だな。

あれ? もしかしてこれって、革命か反乱の真っ最中ってことか?

本当に、すごい場面だったんだな。


さらに指を動かし、景色を変えていく。

すると、燃え盛る城の外の広場で、女性と男性が何か言い争っているようだ。


「クロエ、この二人の会話とか聞こえないかな?」


「ちょっと待って」


クロエが再び両手でいじると、だんだん声が聞こえてきた。



『……税を上げ過ぎたあなたが責任をとるべきでしょう!』

『何を言っている、徴収した金のほとんどはお前の装飾品に消えたのだぞ!』


『あなたが首を刎ねられればいいのです!』

『貴様、私が知らないとでも思っているか!』

『何の話ですか!』

『貴様が、この反乱の首謀者と繋がっていることだ!』


『ゲルニード伯爵とは、何もありませんよ!』

『嘘をつくな!』

『あなたこそ、子爵家の小娘に手を出して!』

『私は王だ、それの何がいけない!』



………醜い、醜いぞ。

終始お互いを罵倒し、責任を擦り付け合い、お互いの浮気をバラしていた。

俺が呆れて、クロエに音声を消してもらってすぐに反乱軍の兵士に捕らえられた。


あんなところで、大声で叫んでいたら捕まるよな……。



俺はうんざりした気分で、景色を変えていった。









第4話です。

次の第5話は、1週間以内に投稿すると思います。


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