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第1話 神様になりました



 2015年5月10日、この日、俺はバイトをクビになった。

いや、バイトを辞めるように店長に促されたというべきかな。


10年続けて働いていたが、何時まで経っても仕事を満足にできない俺を見限ったということだろう。


今日は最後の出勤日だったのだが、店長からは労いの言葉もなく俺はいつもの仕事を終えてひっそりと帰った。

仕事を辞めることとはこんなものなのかなと思いながら、トボトボと家に向かっていると、急に俺の視界が白一色に染まった。



周りをキョロキョロと確認するが、白一色で何もない………いや、俺の後ろにあった。


それは高く長い直立の石柱、どこかの国の公園にある確か『オベリスク』といったものがそこにあった。

高さは10メートルぐらいのものだが、かなりの存在感があった。


「オベリスクだよな……確か」


『その通りだ』


「うわっ! ……誰かいるのか?」


俺は誰かいるのかと思い、オベリスクをぐるりと回るも誰も確認できなかった。


『信じられないかもしれないが、君の目の前の石柱が声をかけている』


「……誰もいないなら、そうなのか……」


『納得したかな?』


「とりあえずは……」


『まずは自己紹介をしておこう、私は数多ある神の一柱だ。

名前はないが君の好きに呼ぶといい』


「俺は、神崎孝二。 今日で35歳になった……」

俺は今日が自分の誕生日だったことを、今思い出して悲しくなってきた……。


『うむ、誕生日おめでとう。

実は今日、君をこの場所に呼んだのは訳があるのだ」


「……訳?」


『そうだ。君は生まれてから今日まで、勉強を始めとして自分の能力が人と比べて劣っているのではと考えたことはないか?』


「……確かに、人と比べて物覚えが悪かったり、要領が悪かったりしているけど……」


『やはりそうか、報告にあった通りだ……』


何か神様側で、書類にでも目を通しながらしゃべっているのか?


「神様?」

『神崎孝二君!』

「は、はい!」


『大変申し訳ない! 君が生まれる前に天使が君に能力を付け忘れたみたいでな、無能力で世に送り出してしまったのだ。

君が生まれてからの苦労はすべて、こちらの不手際だったのだ。

本当に申し訳ない事をした!』


……なんだろう、オベリスクの向こうで土下座している神様が見えるみたいだ。


「………あの、それで俺はこれからどうすれば?」


『うむ、本来ならば付けるはずだった能力をつけて地球に戻して終わりなんだが、それではおもし……コホン、それでは私の気がすまなくてな?

特別に君の願いを1つだけ叶えてやろうと思っている』


……神様、面白がっているんだな?

今回の事も、暇つぶし程度としか考えていないんだろうな……。

俺は、今まで苦労したりバカにされたり傷ついたりしてきたのに………。


「!! どんな願いも1つだけ叶えてくれるんですよね?」


『勿論、私のできる範囲でなら構わんぞ?』


よし、誰も願ったことないような願いにしてやる!


「それなら、私を『神様』にしてください!」


……どうだ?


『……それは、私のような神になるということで良いのか?』


あれ?


「は、はい」


いいのか? 

叶えられるのか? 

俺、神様になるのか?


『……少し待て』


何だ? オベリスクの向こうで誰かと話しているみたいなんだけど、聞き取れない言語だ。

日本語じゃないな……英語?

いや、どちらかというとフランス語に近いかな……?


『よし、神崎孝二君!』


「は、はい!」


『君の願いは受理された、おめでとう!

今から君は神の一柱となった!!』


その声がオベリスクから聞こえた時、俺は目の前が真っ暗になった。

何が起きたのか全く分からず、何も考えることができずに気絶したらしい。



次に目を覚ました時、そこは白一色の世界ではなく、どこかの部屋のベッドの上だった。

ご丁寧に、タオルケットまでかけてあった。


まだ少しふらつきながらも、ベッドから起き上がると目の前のドアが開く。


「おはよう、体大丈夫?」


女の子だ、歳は14か5、髪は短くショートで耳が見えている。

髪の色は銀色で、瞳の色が金色だ。

服は派手な色ではなく普通のシャツにデニムのズボン。

そして革のブーツを履いていて、まるでどこかの異世界人だ。


「あ、ああ。 あの、君は?」

「その前に、これを読む」


そう言って女の子は、俺に手紙を渡してくれた。

封を切り、中の紙を広げて手紙を読む……。



『神崎孝二君、まずはおめでとう。

君は私と同じ神になったのだ。

これから君がどんな神になるのかは、これからの成長を見守ろう。


正直、私に後輩ができるのは1万年ぶりのことでどう接していいのか分からず、こうして手紙を書いてみたのだ。


これから君は、神とはどんなものなのかを学ぶ教育期間に入る。

そのために、世界を1つ用意しておいた。

その世界を発展させ、知的生物たちを良き方向へ導いてやってくれ。


神の教育期間は、惑星の寿命が尽きるまでだ。

何、ほんの50億年ほどだ。

……いや、知的生物の導き次第では短くなるか。


とにかく頑張って、教育期間を全うすることを祈っている。


君は、地球人という人間から神になった。

だからこそ、この教育期間で心を壊してしまう恐れがある。

そのため、私の権限でサポートをつける。


目の前にいる天使だが、まだ名前はない。

君が付けてやるといい。


では、分からないことは君に付けた天使に聞きながら、君の世界を頼んだぞ?


神崎孝二君を神にした神より』



……俺、本当に神になったのか?!

それと、目の前のこの女の子って『天使』だったのか。

………翼はないのかな?


「えっと、君が俺のサポートをしてくれる『天使』なの?」


「そう、よろしく」


言葉数が少ないけど、可愛いな~


「こちらこそ、よろしく。

えっと、君に名前を付けてもいいかな?

ほら、呼ぶ時『天使』だと不便だからさ」


女の子の目がキラキラしたぞ、どうやらうれしいようだ。


「名前、欲しい。

名前あると、神様大切にしてくれる」


どんな名前がいいかな?

天使……エンジェル……う~ん、呼びやすい名前がいいな……

そう言えば、人間だったころゲームの中で主人公の相棒が『クロエ』って名前だったな。


天使なのに黒っていうのも面白いかもしれない。

俺を神にしてくれた神も、面白がっているようだしいいかな……。


「うん、君の名前は『クロエ』だ。

……どうかな?」


「……クロエ。 ……私の名前はクロエ。 神様、ありがと!」


……可愛い笑顔だ。

どうやら気に入ってくれたようでなによりだ。


「ではクロエ、俺はまず何をしたらいいんだ?」


「まずは、服を着るべき。

そこのクローゼットに、服が入っている」


俺は自分の姿を確認して、Tシャツとパンツ姿に顔が赤くなってしまった。

……神様なのに、いきなり恥をかいてしまった。




とりあえずクローゼットから適当に服を取り出し、それを着るとクロエがブーツを用意してくれる。


「神様、このブーツを履くといい」


「ありがとうクロエ。

……俺の知らない変わったデザインのブーツだね?」


「これは、神様の担当世界で扱っているブーツ」


てことは、異世界のブーツというわけか。

どうりで知らないデザインなわけだ……。



「世界管理部屋はこっち」


俺がブーツを履くと、クロエは俺が担当することになった世界を管理する部屋に案内してくれた。

……と言っても、隣の部屋なんだけど。

最初に、クロエが入ってきた扉の向こうにその部屋はある。


世界管理部屋と名付けられた部屋は、6畳ぐらいの部屋でドーム状の、まるでプラネタリウムのような中になっていた。


部屋の真ん中に座り心地のよさそうな椅子があり、まるで東京都知事が座るような椅子だ。

そしてそこに座ると、目の前のドーム状の壁がまるで警備室のような監視モニターのように、管理する世界の様子を何か所も同時に映し出した。


「うわ、すげぇ……」


「この部屋の使い方を説明する」


俺のすぐ隣に、どこからか用意していた椅子に座ったクロエが説明しだした。









不定期連載です。

後々、週一連載にしていきたいです。よろしくお願いします。


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