姫様ウォーズ
「汝、ケンヤ・フワ・フォン・ルーチェ・シノン・ローレリアズは、騎士道に…」
ふふ、私の一族も古い名をもっていてね?とか、言いたくなるな。
『空から落下するんですね わかります』
メ、メガー!
「……忠誠を」
アステリアが手を差し出す。
「変わらぬ忠誠を」
口付けして、終わりだ。
次の日、朝早くに叩き起こされ、礼儀やらを詰め込まれて、そのまま突貫で叙爵の儀式が始まり、今ようやく終わった。
疲れたわ。腹減ったわ。
『水しか飲んでませんからね』
「ケンヤ、帰りましょう」
ミューゼがメイドさんを連れて、張りぼてモードで寄ってきた。
「さあ、叙爵の儀式は終わりだ。ご苦労ケンヤ。姫様はこちらへ、お疲れになったでしょう」
アルバース閣下がアステリアをもてなすようだな。ハゲそう。貴族って大変だな。
『ご自分も 貴族なのですが』
「ケンヤ卿!よろしいか?」
レイバーン?何だろう。やな予感がするな。
『そう言う 予感は 当たるものです』
「皆で先に帰ってくれ」
聞いてみればわかるだろうさ。
「アスティ様はお父様がおもてなし致しますわ」
「いえ、私はケンヤ様の砦に参ります」
「にゃっ」
ミューゼは鳴いた。
「な、何故でしょう。シノンの砦は『私達』の私宅。アスティ様をお迎え出来るような格式はありませんわ」
様子見のジャブッ!
ふふふ、とミューゼは微笑む、が、頬が引き吊っている。
「格式など必要ありません。ケンヤ様がいる場所が私の居場所ですわ」
おっと見事なストレートッ!かわせるかッ。
「ふふ、アスティ様はお父様が是非おもてなししたいと。ねっ?」
ああっ!ダッキング、ミューゼ選手苦しいかッ?
「ケンヤも疲れたでしょうし、休ませてあげたいのです。『身内だけで』」
近距離からのレバーッ!
アステリア選手苦い表情ッ!これは効いたぁッ!
「…父王陛下は、私とケンヤ様が『よい関係』を結ぶ事を『望まれて』おりますの。ケンヤ様がお疲れならば私が癒します」
アステリア選手、見た目にそぐわない超インファイトッ!!凄い猛攻ですッ!!押しきれるかッ?
「にゅ、心配ありませんわ。テレーゼも居てくれますし、ケンヤには何時も満足してもらっているもの。」
大きくでたぞッ!やぶれかぶれかミューゼ選手ッ!
解説のリッツさん、どう見ますか?
そうですね、私としてはアルバース閣下の額の血管が気にかかりますね。キレてしまわないでしょうか?
「んなっ、ま、満足…そ、ん、わ、私だって、満足させてみせます」
足に来ているッ!足に来ているぞッ、アステリア選手ッ!このままKOかぁぁぁッ!!
「それは、無理ですわ」
ミューゼ選手余裕の表情ッ!
「ケンヤが大好きなカボチャのシチューは、私にしか作れませんもの」
おおっとぉッ!!
ミューゼ選手コーナーで相手を挑発ッ!!相手を回復させるような余裕の態度だぁッ!
「え…ふ、ふぐっ、私ったら…はうぅ」
アステリア選手ッ!ダウンッ!!ダウンッ!!カウントッ!
立ち上がれるかッ?
相手を惑わして自滅を誘う、恐ろしい一撃でしたねッ!
ええ、見事な一撃でした。
「リッツ、マーク!遊んでないで行くぞ!」
「へ〜い」
「わかりましたよ」
「緊急召集だ!早くしろっ!」
 




