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逃げ出した先の生き方は  作者: 間違い探し
20/37

魔導兵器シノンとシノンの兵隊達 3

〜ダリの場合〜


「これは…、なんて、強さ……」

これが、シノンの力か!王家を守るに相応しい力だっ。

それに、ケンヤさんの気迫ときたら!

普段から油断のない眼光だが、一際鋭く、気圧されてしまう!くっ、俺はこの人に並ぶことが出来るのだろうかっ?


〜兵長の場合〜


流石は中将閣下!お見事です!

自分には剣の軌跡すら見えません!

そのお力、感服するしかありませんっ。


〜テレーゼの場合〜


あっ、えっ、と、えっ?

一瞬で何が何だか…。ケンヤ様、精悍な顔つき…。こんな眼をするんですね。そんなに姫を…。負けませんよ姫様!頑張れ私っ!


〜民たち〜


閣下スゲー!ツエー!怒らせたらコエー!!




いつも眠たそうなケンヤが真面目な顔すると、ちょっぴり恐かったの…。

ケンヤ、怒っちゃったの?


どうしてか項垂れちゃったケンヤが心配になってきたの…。そしたら、

「ケンヤっ」

光に包まれちゃったっ。どうしようっ!


私が何も出来ずに眺めていると、光はすぐに収まったの。


「ケ、ケンヤ、なの?」


白く輝く流線型の甲冑らしき姿。腕は歪に前腕が長く、左手には伝説に吟われる魔導機銃。

瞳の部分は細長く横に、耳の辺りまでスリットが開き、紅い燐光を放っていた。


物語に出てくるシノン、そのまんまなのっ!

す、凄いのっ!


「伝説にあるシノン!こ、この姿が!王家の騎士、シノンっ!」

ダリもテレちゃんも、トステリアちゃんも。みんな、みんなびっくりしてるのっ!


ヴゥーン

キュィーン

バシュ〜ッ!


ドンッ!!!


「キャアッ!!!」

ゆっくり動いたかと思ったら、爆発して飛んでったのぉ〜!

は、速いの。


「……凄い一瞬でインプが……」

ダリが呟くように、どんっ!どんっ!ってお腹に響く音がなったと思ったらみんなやっつけたの……。

私はただ、ただ、ケンヤに見とれてたの…。


あっ、こっち見た?

あれ、れ、どこ行くのっ!ケンヤっ!


ドガァーンッ!!

おっきな音が出て、城門の方にいったの、たぶんっ!速すぎて見えないのぉっ!


「そうか、敵は城門だ!ケンヤ卿は迎撃に行ったに違いない!」

「全員、槍を持て!グズグズするな!」


みんな、急いで準備するのっ!ケンヤ一人でいっちゃったから、みんなで迎えにいくの!




猛り狂う兵長と槍兵達!

伝説を目の前にし、今この時が伝説として後世に伝わろうとしている!


「魔物を倒し、ローレリアを救うのだ!」

ダリが声を張り上げる。

「抜剣!槍構え!」


兵長が凛としたよく響く声で叫んだ。

「中将閣下に、続けぇ!!」

「「ウォォ!!!」」


ローレリア防衛戦の始まりだった。



『Escort target safety』

そうか、なら、後はこいつらを倒すだけだ。


城門前にはおびただしい数のゴブリンが取り付いていた。映画でも視ているようだ。

アルバース閣下が城壁で剣を振っているのがわかった。


『ザザッ…ザ…敵 航空戦力接近 』

『撃墜せよ』


…何だと?日本語喋れるなら最初からそれでお願いします。聞き取れないでしょっ、もぅ!


さっきのインプなら、楽にやれる。終わらしてやるよ。


スラスターを全開に、敵に向かって加速と急制動を繰り返すと、小さな悪魔たちは大気の衝撃波にぶつかり地面に墜落していった。


よし、後はゴブリンを…

『敵 陸戦シノン レーダー照射 注意』


なっ、なに?!シノン!

眼下には黒色の歪な甲冑が1体存在していた。

あれがシノン?まるでロボットみたいだ…。


ドッドンッ!

『誘導弾 回避 回避』

うわっ!不味い!


俺は高度を上げてかわそうとしたが、追いかけて来る!ミサイルかよ!

スピードを上げてグルグル蛇行と旋回を繰り返す…駄目か!

後ろを確認しながら急制動!

ミサイルが自分スレスレを通りすぎた。


今だっ!機銃をばら蒔き誘爆させる!

ドンッ!ドガーン!


爆風で煽られ、ヤバい、墜落する!いつの間にか地面に近付いていた!肩から堕ちる!


「あぁぁッ!踏ん張れっ!」

空中で身体を捻り、何とか足から着地!

慣性に引き摺られ、足裏が地面を舐めた。

『右脚部にダメージ 誘導弾 回避 回避

ブレードを出して地面をジグザグに滑りミサイルをかわす!やめろ!卑怯だぞ!


爆風でゴブリンがみるみる減っていく。

無茶苦茶だ、こいつ!さっさと倒さないと、流れ弾が城壁にでも当たったら大変な事に!


俺は機銃を構え蛇行しながら近付いて、射ちまくった。随分固いが、これで、終わり!だっ!


ブレードを構えて飛び上がり、上に向かって全開でスラスターを噴かせた。


下に向かって急加速した俺は、ブレードを黒いやつに叩きつけた!

ギャンッ!バチバチッ!

金属音と放電の音!

敵が俺に機銃を向けようと蠢く!


「クッ!タッ!バッ!レェッ!!」

ギシャンッ!

派手な火花を散らしながら、敵の頭部を胸の仲程まで真っ二つにした。


はい、はい!御約束の大爆発だよね!知ってるからっ!お前の奥の手通じないから!バーカッ!

『…………』


急いで離脱しようとした俺の前には、子供と女性が……えっ?


「守れェェェェッ!!!!!」

『魔導シールド最大出力』


無意識にその子らを背に、閃光を遮った。


刹那、衝撃。爆音。

バラバラになりそうな痛みが俺を打ちのめした。



ああ、あ、ど、ど、うなった?あの人達はぶじ、か…?

気がついた時、俺は空を眺めていた。


黄昏に染まる世界は、こんな時でも美しく見えた。


『護衛対象の無事を確認』

そうかよ。やったじゃないか。


『危機的被害 撤退せよ』

無理、言うな、よ。


『敵戦力 接近』

ノイズの入る視界にはゴブリンが見える。

まだいるのかよ。


俺は無理やり立ち上がった。こいつらで終わりだ。何とかするさ。

『撤退を推奨』

倒すンだよっ!


歪んだ装甲が軋みをあげて、膝を着いた。

わ、わりと紙装甲だよね俺は。見た目は固そうなのに。

『いえ、貴方が無茶をするからです』

しょうがなかったでしょっ!

せめて後ろの二人だけでも逃がすんだよ。

『護衛対象の無事は確認されました』

『ok?』

バカにしてる?もしかしてバカにされてる?ねぇ?!


最早祖国の奥義、カミカゼアタックしかない。いくぞ!

「ウォ」

「中将閣下をお助けせよ!!!」

ダリの声?

「突撃ィィ!!!突っ込めっ!!」

兵長?

「「ワァァァァ!!!!」」

みんな。


俺をすり抜けて、ゴブリンに向かっていく。

『友軍の到着を確認』

『戦闘武装を解除します』


「ケンヤっ!ケンヤっ!」

ミューゼ…。

「心配したのっ。一人でいっちゃったらダメよ?ね、ケンヤ」

俺の手を握るミューゼ。暖かい。

装甲が消え失せ、そこには見馴れた自分の手があった。


「あ、おれ」

「ケンヤ様!ああ、こんなにお怪我を!さ、早く治療をっ」


むむっ!17000馬力の躍動感が俺の腕にッ!技術の粋を凝らした無限軌道が俺の腕に腕にッ!密着するっ!超兵器万歳!


……この世界の神とはなんなのか。

シノンとは一体……ウゴゴゴゴ…。


ミュ、ミューゼさん、頬っぺたを握り絞めるの、止めてもらっていいですかね?

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