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プロローグ
ただひたすらに前を向いて歩き続けた。
目的地はある。
しかしそれが西にあるのか、あるいは東にあるのかは不明だった。
ただひたすらに前を向いて歩いた。
国王である父とその妃である母の思いを胸に秘め――
ただ、王子としての義務を果たさんとするために、前へと進んだ。
気候が悪くないのは幸いだった。
昼は、暑くもならず、夜も寝られないほどに冷えたりはしなかった。
今まで見たことのないほどにきれいな星を一三度も見た。
ただ、真っ直ぐに歩き続けた。
後ろには既知の恐怖が。
前には未知の恐怖が。
ただ、真っ直ぐに蛇道を――歩き続けた。