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不機嫌な朝2

 僕は置いていかれ、自転車で猛スピードで学校に向かっている。

 生徒会のメンバーとして遅刻は厳禁。

 生徒達の模範、規律とならなければならないわけで。


 魔王の機嫌がよかったり、忍さんだけだとすんなり車に同乗できるのだけど、今日は叶わなかった。

 くそぉ。もう弁当なんか作ってやるもんか!

 スピードを上げているからなのか、悔しいんだかなんか涙が風に吹かれてるし。

 くっそぉぉぉ。

 遅刻しそうな人たちを追い上げて、なんとか門が閉まる前までには到着できた。

 まだ夏でもないのに汗だくだ。

 はぁぁ。なんという出足の良くない朝なんだ。


「み、水沢くん。よ、良かったらこれ使って」


 呼吸もままならないのに誰だ声かけてくるのは?

 自転車にカギをかけていたので振り向くと、そこに同じ学年の女の子がいた。セーラーカラーで学年がわかるようになっているので、名前やクラスを知らなくて判別できる。

 彼女は耳まで真っ赤にしてハンカチをこっちに差し出している。

 ふむ。

「……サンキュ」

 片手を挙げながらありがたく頂戴する。断る理由はないから。

「あ、あの私1年―――」

 多分クラスと名前を言っているのだろう。でもあえて聞き流す。その子をその場に残し、クラスへ向かった。

 いちいち借りたもの、くれたものを覚えていたらキリがない。かといってアイツみたいに律儀なフェミニストにはなれないし、なりたくない。

 まぁ、差し出されたこのハンカチはいずれ返すつもりではいるけどね。


 玄関口に入るとホームルーム開始時間間近のため、賑わっている。

 生徒会に選ばれて、アイツがあーやと……いやいや考えるだけでも朝から気分が悪い。

 とにかくだ、魔王と関わったせいでろくでもない高校生活が始まってしまったのだ。


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 日本に戻って、高校生活一、ニ年位、体験したいって言ったら、3年目に向こう(アメリカ)に帰ることが条件で、親も承諾してくれた。


 最初の話しでは、子一人だから学生寮に、という話だった。それが日本に着いたら勝手に行き先が変更されていた。

 日本に無事に着いた、と取り急ぎ連絡したら、寮はキャンセルしたから、と一方的に言われ、困り果てた。

 一体どこで生活をするんだ、と文句を言おうとした瞬間、下宿という形で、従姉のあーや、こと春日綾音かすがあやねと共に生活しなさい、と告げられた。

 言ってる意味がわからなかった。

 いつの間にやら、あーやの母親とウチの母親が示し合せたように、勝手に決めていたようだ。

 そもそも男と女を同じ屋根の下で暮らせちゃおう、という発想自体おかしいのに、二人ともノリノリだ、ってことが何か裏がありそうで怖い。


 言っておくが……、僕が望んだわけでは、断じてない!!

 従姉のあーやがせっかく日本にいるのだから、一緒に住めたら……なんて一言も言っていない。

 声を大きくして再度言おう。

 断じてない!!


 とにかく絶句と、驚きしかでなかった。でも少しだけ久しぶりに会う、あーやの姿を想像してニヤニヤしたのは秘密にしたい。


 住所を慌てて書き留めたあとに、アポも取らずに行ったのがそもそもの間違いだったのかもしれない。


 思い出してもオソロシイ。

サブタイトル2013.8.1変更

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