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書けない作曲家

 かのモーツァルトが幼い頃から天才なのは言うまでもなく、やはり教科書に名を残す作曲家はそれなりに幼少期から、神童的なエピソードが数々あったのだろう。私も幼い頃からエステ家の噴水の如く楽想が頭から湧き出し、それを鉛筆を持ち、紙に書き留めるようならば、周りから、「この子は天才だ」とか、「きっと教科書にも載る偉大な作曲家になれるだろう」とか、耳にタコができてしまうくらい言われてきました。そして、私はそれを言われ続けること18年、ヒットと言える作品、そしてもはや、出版社に掛け合って出版してもらった作品は十の指に収まるほどしかなかったのです。アルバイトや副業で生活を立てているが、しかし、このような様は夢にも思わなかったのです。私はいつからか、「落ちぶれ」と言われることが増えました。他の仕事を勧める人たちもいました。しかし、私はまだ諦めていないので、音楽界にカビのようにへばりついています。その甲斐あってか、いくつかの音楽仲間と知り合うことができました。そして、今日、その音楽仲間数人と飲み会を開くことになりました。私たちの飲み会はいわば発表会みたいなもので、作品を発表し合うところでありました。しかし、私、清田聡太はまだ自分の納得する作品を書けていませんでした。そして、時は待ってくれず、飲み会が始まってしまいました。

「おう、みんな、久しぶりやな!」と元気に城山が飲み会の店の前でみんなの顔を見て、陽気に声をかけました。城山蒼志は今日集まる音楽仲間の中でもかなり売れている方で、今は自分の作ったジャズの曲で日本を拠点に活動をしているそう。私とは違い売れていて、数多の出版社から声をかけられているそう。しかも、自分の曲集のレコーディングもしたらしい。そんな陽気な声に対し、「あぁ、みんな揃ったな」と疲れた顔で言う深山。深山瞬太はドイツの大手レコーディング会社からも声がかかっているほどの逸材で、ショパン国際ピアノコンクールで22歳の時に入賞を果たした今売れているピアニストだ。「なんだ深山。今日もコンサートだったのか?客入ってんのか?」煽り調子のこの男は今シンガーソングライターとして活躍している森翔星だ。今売れに売れてどこが配信サイトでは森の作品が5000万回再生を超えたとか。美声の持ち主でルックスもいいことから、若い世代に人気らしい。「今時クラシックなんかじゃ客は入らないからな。大変だろ?」またもや煽り調子で言う森。「久しぶりに会ってみたら煽りか〜!昔みたく川に落としてやろうか?」「そりゃ勘弁だ。瞬太にゃ力では勝てないからな〜」「それ以外でも勝てへんやろ。ショウには」「言ったな、このデブ〜。生かしておけんな〜!」「まあまあみんな。とりあえず中に入ろうよ。早く飲みたいし」「それもそうだな。清田は相変わらず真面目だぜ」「そこがええとこやがな」。こんな感じで私たちは店の前で楽しく群れていました。

 店の中に入りみんなまばらに注文し出しました。

「おねぇちゃん。とりま生4つ、お願いな」明るく店員に言った後本題が始まりました。「じゃあ、曲の聞き合いしよか」「良い曲持ってきてるだろうな?なぁ深山」「あぁ。今回はかなり傑作な部類を持ってきた」「そうか。じゃあ、順番に深山、俺、清田、森の順で聞いていこか。楽しみやの〜」。そして私にとっては地獄の曲の披露会が始まりました。

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