表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

 横殴りの雨は、ベランダの掃除にはもってこいと、どこかのライフハックか何かで見た事があり、横殴りの雨の中スプレー洗剤を持って意気揚々とベランダに出た。

 窓に打ちつける雨、ベランダにあるごみや汚れを雨水が洗い流してくれると、洗剤を網戸や窓に吹き付け、ブラシで擦り、また窓に吹き付けブラシで擦りを繰り返しているうちに体も当然びしょぬれになる訳で。

 掃除をしているうちに段々寒気と、客観的に見てどうなんだろうか、という思いで、最初の意気揚々はどこかへ洗い流されてしまい、意志が挫かれてしまった。


 部屋の中に誰かが立っていた。

 誰もいないはず、彼女が出掛けている間にベランダを綺麗にして、普段はなにもしないが

 こういったこともするんだぞと、プチ自慢。

 驚かすためベランダで悪戦苦闘しているのに。


 思わず窓を開けて中に入ろうと、窓に手を掛けたが全く動かない、相変わらずそれは微動だにしなかった。

 慌てて何度も窓を開けることを試すが、同じだった。

 背中に寒いものが走ったのは、横殴りの雨の所為だけではなかった。

 半分パニックになりながら何度も開けようとしたが駄目だった。

 仕方ないと手に持っていたブラシの柄で窓をたたき割ろうとした瞬間。

 もう片方のカーテンが閉まっている窓から、どうしたのと言う声とカラと窓を開ける音がした。

 どうしたのとカーテンの向こう側で再び彼女の声が聞こえた。

 こんな雨の日に、外で何してるの。ただでさえベランダの窓は外からは開けにくいのに、雨の日なんか余計に開け難いのに、と。

 誰かいなかった?とカーテン越しに聞くと、さあ、おおよそ自分の影がガラスに反射したんでしょと。

 部屋の奥にその声は遠ざかって行った。

 ベランダから部屋に入るとバスタオルが、足元に畳んで置いてありそれを拾い、濡れた体を拭きながら、消えた彼女の方を目をやった。

 ふと、また違和感があった。


 彼女は、なぜ私が悪戦苦闘していた、開けようとする窓を開けずに、カーテン側を開けたのか。


 外は相変わらず、窓を雨が叩きつけていた。


メヲ通してくだサリ誠にありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ