第22話 ユイナの手伝い
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宜しくお願い致します~!!
「あ、あの……私も畑を作るお手伝いしても、いいでしょうか……?」
シルフィさんにしっぽりと搾り取られた翌日の朝。
俺が畑に水やりをしていたところ、
ユイナちゃんが俺に話かけてきた。
「畑を? 俺はいいけど……大変だと思うけど、本当に大丈夫?」
「だ、大丈夫です……! わ、私も杏輔様の役に立ちたい……です!」
ユイナちゃんは両手をぐっと握りしめてやる気をアピールする。
別に俺としては、大変だった日々を忘れられるくらい健やかに暮らしてほしいから、
役に立ちたいなんて思わなくてもいい。
だけど、
「それなら……無理をしないと約束してくれるなら、お願いしようかな」
「か、かしこまりました……! わ、私! 頑張ります!」
ユイナちゃんは勢いよく頭を下げる。
なんとなく、このまま何も言わなければ無理をしないという約束がなくなりそうな気がするけれど……、
まぁ、そこは俺がちゃんと様子を見れば大丈夫か。
「それじゃあ、まずは一緒に草刈りから始めようか」
「わ、分かりました!」
ユイナちゃんはやる気十分といった様子。
「それじゃあちょっと、倉庫から道具を持ってくるね」
「ご、ご一緒します!」
ユイナちゃんは俺の隣を歩く。
俺は少しだけいつもよりゆっくりとしてペースで歩いた。
ユイナちゃんにとって、畑いじりは大変かもしれないと思いながらも、
きっと植物が成長する過程は、
関われば関わるほど精神的な癒しに変わると思うから。
まぁ、ここで育ててるのはちょっと育つのが早すぎるかもしれないけれど。
1分ほど歩くと倉庫に辿り着く。
俺は倉庫から必要な道具を取り出した。
「それじゃあ、ユイナちゃんはこれ持って」
そう言って、俺はユイナちゃんにビニール袋と草を飛ばして集まるのに便利なブロワーを渡す。
畑を耕すのに、あれば便利かな?
と思ったので、日本に戻ったついでに買ってきたのだ。
「か、かしこまりました……! あ、あの……これは一体……?」
「これは草を風で飛ばすやつだよ。俺の故郷のやつ。とは言っても俺も初めて使うけど」
それなら風の魔法でいいんじゃない??
なんて、思うけれど言わなくてもいいだろう。
どっちにしろ、まだ俺もユイナちゃんも上手く魔法は使えないから。
「え……? もしかして、魔法が使えないと使えなかったり……」
「いや? このボタンを押すだけだよ。ちょっと押してみ」
「こ、ここですか……ひゃ!?」
ユイナちゃんはブロワーのボタンを押して風を出す。
そうそう。夏の暑い時にブロワーの風を浴びると気持ちいいんだよな。
まぁ、今はどうでもいいかもしれないけれど。
「きょ、杏輔様! す、すごいです……! 魔法を使わなくても風が出てます……!!」
「いやぁ……さすがに魔法の方がすごいと思うよ?」
「そ、そんなことはないです‥…!」
ユイナちゃんは興奮したご様子。
「そ、そうかな??」
ユイナちゃんの勢いに俺は思わずたじろいでしまった。
なんかすごい力の入りようだった。
「そ、そうですよ! だって魔法が使えない人だって、魔法みたいなことができるってことですよ!? ほ、本当にすごいことですよ……!」
「あぁ……なるほど」
ユイナちゃんに言われるまで考えもしなかった。
魔法が誰でも使えるものでないなら、
誰もが魔法を使えるようになるのは、
たしかにすごいことなのかもしれない。
「ち、ちなみに……杏輔様がお持ちのものは……?」
ユイナちゃんは興味津々(きょうみしんしん)に尋ねる。
「これ?? あぁ、これは芝刈り機と言って草を刈る道具だよ」
俺は丸っこい刃が付いた芝刈り機を持ち上げる。
「く、草を刈る道具……ですか?」
ブロワーの時と違って、
ユイナちゃんはすごく微妙そうな反応をする。
「でもすごく楽しいんだよ?」
「え!? 楽しいんですか?」
「ユイナちゃん、使ってみるかい?」
「い、いいんですか!? 使ってみたいです!」
「じゃあ早速やってみるか……ただ使う時は危ないから気をつけてね」
「は、はい……! わかりました……!」
そうして俺とユイナちゃんは畑に戻る。
目の前には生い茂った草むらが広がって、
葉っぱの青い匂いが漂う。
「それじゃあ、いきます……!」
そして芝刈り機のスイッチを入れて――
「ふ、ふおおおおおっ!! す、すごいです〜!! 葉っぱさん達がラクラク刈れてます〜!!」
ユイナちゃんは目を輝かしながら、
芝刈り機を『ブィィィイイン!!!』といわせながら、
『ガリガリ』と草を刈り取っている。
「ふ、ふおおおおおっ!!」
楽しそうでなにより。
ユイナちゃんに普段の様子では見れないテンションが少し面白い。
俺はこっそりブロワーでユイナちゃんが芝刈り機で刈った草を集めておく。
「お、良い感じじゃないか?」
良い感じに草を刈ると、それなりに広いスペースができた。
「す、すごく……楽しかったです……!」
「それなら良かった……でも続きは明日にしよか。そろそろお腹が空いたでしょ?」
「わ、わかりました! じ、実は私もお腹ぺこぺこで……」
ユイナちゃんは恥ずかしそう言う。
言いづらい気持ちは分かるけど、俺はちょっと笑ってしまった。
きっとユイナちゃんは気を張ってたんだと思う。
でもこうして笑顔で楽しんでくれるなら、
それに勝るものはない。
そうして俺とユイナちゃんは別荘《家》に戻るのであった。
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