第10話 異世界で菜園をはじめる
更新しました!
宜しくお願い致します~!!
「よし。ひとまずはこんなもんだろう」
じいちゃんから譲り受けた別荘のDIYを始めてから一か月。
ひとまず想定以上の改修が終わった。
別荘全ての床もベニヤ板を重ね合わせたベニヤ合板で補強しつつ、フローリングで綺麗にできたし、
問題ないくらいには綺麗に改修できた。
ただ天井はそのままにした。
少しくらいは幼い頃に遊びに行った別荘の面影を残したかったから。
「杏輔様。お疲れ様でございます。当屋敷の改修の終了。心よりお喜び申し上げますわ」
「いやいや、シルフィさんがいたおかげだよ。俺一人じゃこんなに早くは絶対にできなかった。本当に助かりました。ありがとうございます」
「もったいなきお言葉……むしろ、よくぞここまで権三郎様の願いを叶えて下さって……きっと天国の権三郎様もお喜びになられてますわ」
これも全部、シルフィさんの存在が大きい。
重たいものは全部、魔法で運んでくれるし、
室内のゴミの風の魔法で塵も残さずまとめてくれる。
だから、作業する上でかなり時間を取られるはずの掃除に一切、時間を費やさなかったのは本当に大きい。
あと良い意味で想定外なのは、別荘の温泉の効能なのかは不明だけれど、
次の日にまったく疲れが残らなかった。
疲れを感じたら適度に休んでいく予定だったけれど、驚くほど疲労感を感じなかったから、かなりの時間作業に費やせた。
なんというか……これが異世界なのかと驚いた。
「それに洗濯がボタン一つで全て済ませられるとは……とても楽になりましたわ。正直に言えばメイド泣かせではあるかもしれませんけれど」
「正直、シルフィさんの魔法がなければ無理でしたよ。一人じゃ絶対にできませんもん」
余力があったから屋敷の裏に太陽光パネルをセットしてオール電化にしてみた。
蓄電器も含めて、結構な値段がした。
おかげでブラック企業時代に貯蓄していたお金はほぼほぼ無くなってしまったけれど、
今後は夜に暗くなりすぎることもないし、おおよその家事も快適にできるようにした。
一緒に暮らすシルフィさんの負担を少しでも減らしたかったから。
「ただ……まさか日本から持ち込んだものが劣化知らずになるとはな……」
「これも魔力の恩恵ですわね」
シルフィさんは嬉しそうに微笑む。
どういう原理かは分からないが、異世界には空気中にマナと呼ばれる魔力の元が漂っているらしい。
魔力ってなに? って、感じなのは今も変わらないのだけれど、
その魔力とやらが日本から持ってきたものと結合するらしい。
結果として日本から持ち込んできたものが劣化しなくなるらしい。
ただ、食品はその限りではないらしいので注意が必要とのこと。
いや、本当に意味が分からない。
いくら異世界でもなんでもありすぎやしないだろうか?
「とりあえず、折角だし今日からは畑でもやってみようかな」
せっかく一段落ついたのだ。
これからはゆっくり暮らしていきたい。
「素晴らしい考えですわ」
「シルフィさんは家でゆっくりしといて。今まで無理させちゃったからさ」
「とんでもございません。私はできる限りにことをさせて頂きますわ。取り急ぎ……お食事の用意でも致しますわ」
「よろしく頼むよ。俺、シルフィさんのご飯大好きなので」
「もう……杏輔様はいつも嬉しいことばかり仰るのですから……お食事楽しみして下さいまし」
シルフィさんはそう言って、嬉しそうに別荘に戻っていった。
「さて、俺もそろそろやりますか」
そういって、俺はホームセンターで買ってきた鎌を持つ。
畑の一部はシルフィさんが手入れしてくれていたみたいだから、最低限の畑の場所があるだけ。
「とはいえ、結構量が多いな」
シルフィさんが手入れしてくれた以外の部分は雑草だらけ。
という訳でまずは草刈りからスタート。
それが終わればクワで土を耕して、種を撒く。
一日で全部行う必要はないけれど、今後のことを考えたら畑を広くしても損はない。
思えば10年前……別荘に来た時はもっと整っていた訳だし。
俺は鎌で雑草を切る。
ザッ! ザッ! と軽快な音と共に草を刈っていく。
草刈りなんて高校生以来。
なんとなく、今だけは学生に戻った気がする。
気がするだけで、身体は30歳のおっさんなんだけど。
実際、始めて10分くらい経ったけれど、しゃがんだ姿が結構キツイ。
「とりあえず、こんなもんかな」
横には『どどん』と刈った雑草が山盛りになっていた。
こうも分かりやすく成果が出ると、ちょっと嬉しい。
だいたい10メートルの幅を2列くらい作った。
これでもまだまだ序盤だから、焦らずやっていこう。
「くぅ~、腰にくる!」
DIYをする際、重量物はシルフィさんが魔法で運んでくれた。
そのおかげで肉体的な負担は少なめだった。
でも今は10分草刈りをするだけでも腰に疲労を感じる。
そう考えたら、俺も結構老けたな。
まぁ、それもそうなのかもしれないけれどさ。
「やる気がある内にまだまだ進めるか」
と言う訳でもう一列分の草刈りを始める。
土を耕すのは明日でもできる。
だから、今は草を刈る。
葉っぱ特有の青臭さや、頬を伝う心地よい汗が、
今までの仕事の喧騒を忘れられるくらいに、気持ちが穏やかだ。
「よし。今日はこれくらいにしよう」
気が付けば夕暮れ。
辺りはオレンジに染まっている。
結果的に10メートル幅を4列も作れた。
思ったよりも身体が動けて、ちょっとした達成感も清々しい。
「まぁ……だいぶ進めたのですね」
後ろから声を掛けられたから、少しびっくりしてしまった。
振り向くと、シルファさんは目を丸くして驚いていた。
「そうですか? まだまだやれますよ?」
俺を腕をまくって余裕をアピールする。
嘘です。ちょっと見栄をはりました。
このまま行けば、次の日絶対動けなくなります。
「さすがでございますわね。その上、夜の相手もして下さるなんて……私は本当に幸せものですわ」
あぁ……そうか。俺は今晩も腰を酷使することになるのか……
「それはそうと、そろそろお食事なんていかがでしょう? それともお風呂で汗を流しますか?」
「お風呂か……たしかに一段落ついたし、汗でも流してこようかな」
「さようでこざいますか。それでは行ってらっしゃいまし」
シルフィさんは微笑んで受け入れてくれる。
なんというか、
今、とても幸せだ。
「ありがとう」
俺は適当な場所に鎌を置く。
明日もやるつもりだから、道具はそのままにした。
別荘に戻り、お風呂場に向かう。
場所は1階の通路の奥。
暖簾の先が脱衣所。
温泉の脱衣所の改修も素材をそのままに最低限にした。
ここには色々な思い出が詰まっているから。
「さて、入るか」
源泉垂れ流しのシャワーに石造りの広めの露天風呂。
俺は源泉垂れ流しのシャワーで汗を流す。
俺はささっと身体を洗って、温泉の中に入る。
「くぁ〜!! 効くぅ〜!」
乳酸が溜まった筋肉に温泉が沁み渡る。
ほど良い熱さが全身の筋肉をほぐしていく。
ここ一か月同じ温泉に入っているはずなのに、
やるべきことを終わらせきった後の温泉は格別だった。
「明日も適度に頑張るか」
しばらく大きな懸念はない。
だから、これから本当の意味でのんびり暮らしていきたい。
今後出てくるであろう、やりたいことを、
やりたい時に、やりたいように。
「そうだ。その内、シルフィさんに魔法を教えてもらおうかな。俺も魔法使ってみたいし」
魔法なんていつかは誰もが夢を見るもの。
だって使えたらかっこいいから。
「お呼びしましたか?」
「え?」
声の方を見ると、白のタオルを巻いたシルフィさんが立っていた。
「どうしてお風呂場に……?」
いつもはあられもない姿を見ているはずなのに、
たった1枚のタオルがあるだけで、
すごく煽情的な姿になっている気がする。
「ふふっ……折角、全てが落ち着いたのですもの。是非ともお背中を流したいと思いまして」
シルフィさんは目を細めて、優しく微笑む。
でも俺には分かる。
背中を流すだけで終わるはずがないと。
【東田からのお願いです】
・面白い!
・続きが読みたい!
・更新応援してる!
と、少しでも思ってくださった方は、
【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】
皆様の応援が東田の原動力になります!!
何卒よろしくお願いします〜!!




