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事故物件

 探偵事務所に居候の身になり、ようやく俺もここでの生活に慣れてきた。


 風華霊能探偵事務所の唯一の探偵、風華雫。

 わずかな痕跡や会話から糸口を見出し、悪質な怪異が関わっていると判断した際には霊力を纏わせた木刀で祓う。


 朝は日を浴びながらコーヒーを飲むことを好んでいて、毎日のルーティンになっている。


 そして、この事務所にはもう1匹の同居人、いや同居猫であるアヤメがいる。アヤメは雫さんが飼っている猫で、その正体は猫又という怪異だ。


 写真や持ち物などからその人物の居場所を特定することができる。ただし、それ相応の力を使うため1日に1回しか特定することができないらしい。


 ピーキーながらもこの事務所ではとても有能な能力だ。あと、喋る。

 初めて喋るのを見たときは正直ビビった。


 ここでの生活を振り返っていると玄関のチャイムが鳴った。


「はーい、どうぞー。」


 ガチャリと扉が開くと、そこには中肉中背の40代くらいの男性が立っていた。


「こちらが風華霊能探偵事務所でしょうか?

依頼に伺ったのですが…。」

「えぇ、そうです。私が風華霊能探偵事務所の風華雫と申します。

どのようなご依頼でしょうか?」

「私が管理している貸家で怪奇現象が起こるんです…。」

「なるほど、詳しくお聞かせください。

浅弥君、お茶の用意を頼む。」


 依頼者は嵐山(すすむ)、47歳。

 この街で不動産業を行っている。数年前に安い金額で購入した物件を貸家にするため、整備などを行っているようだが、物の位置が変わっていたり、電気が付いたり消えたりするなど、たびたび怪奇現象が見られている。


 元の持ち主に確認しようにも連絡がつかないため、事情を聞くこともできないらしい。

 おそらく事故物件とわかったうえで押し付けられたのだろう、と嵐山さんは嘆いていた。

 このままではとても貸家にできないため、その原因を解明および可能なら排除してほしいとのことだった。


「なるほど、おおよそ状況はわかりました。

では、さっそく調査していきたいと思いますので、まずは依頼契約など諸々の手続きを行いましょう。」


 そうして手続きが完了すると、私は浅弥君を伴って件の貸家へと赴いた。

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