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特定
まさか秋山浅弥本人から電話がかかってくるとはね。手間が省けてちょうどいい。さて、居場所を調べるために一度事務所に戻るか。
事務所に戻るとさっそく居場所の特定に乗り出した。
「アヤメ、この男の居場所を見つけ出してくれ。どうやら裏世界に迷い込んでいるみたいなんだ。」
「まったく人遣い、いや猫遣いが荒いご主人だにゃ〜。」
アヤメは気だるげにそう話す。
そう、アヤメはただの猫ではない。
通称『猫又』。れっきとした怪異である。
アヤメはそんなことを言いながらもこの街の地図の上で歩き出した。
「ほい、にゃにゃ〜っと!」
そう言って指し示したのは、昨日彼を助けた路地だった。
「あの後、すぐに迷い込んだのか。
ある意味すごいな、彼は。
それじゃあ行ってくる!」
「いってらっしゃいにゃ〜。」