人探し
朝起きて、朝日を浴びながらコーヒーを一杯飲み、飼っている猫、アヤメを撫でる。そんないつものルーティンを過ごしながら、私は昨日の出来事に考えを巡らせていた。
(昨日助けた男、命の危機から助かってすぐの割にはなんだか落ち着いていたように見えた。もしかして、襲われることが日常茶飯事なのか?いや、まさかな……。またあのような状況で会わないことを祈ろう。)
その時、玄関のチャイムが鳴り響いた。
「おや、お客さんかな?
どうぞ、空いているのでお入りください。」
ガチャリと扉が開く。現れたのは20代ぐらいの若い女性だった。
「あの、ここが風華霊能探偵事務所ですか?」
「ええ、そうです。私は風華霊能探偵事務所の風華雫と申します。どのようなご依頼でしょうか?」
「私の目の前で消えた弟を探してほしいんです。」
「なるほど…。詳しくお聞かせ願えますか?」
依頼者は秋山楓、24歳。
昨日の夕方、弟と外食して帰るときに、ふと目を離したら弟の姿が消えていたそうだ。
警察には連絡したが、まだ昨日のことということで帰ってくるかもしれないから様子を見ろとのこと。
連絡も取れなくなっており、何も言わずにいなくなるような性格でもないため、今回依頼したいとのことだった。
失踪した弟の名前は秋山浅弥、19歳。
近くの大学に通う大学生だ。
写真もあるとのことで見せてもらった。
(ん?この男見たことあるな。
というか、昨日助けた男じゃないか!)
「あの、この方なら昨日見かけました。」
「ほんとですか!どこで見たんですか?」
「裏路地の方だったんですけど…。
ところで、弟さんって巻き込まれやすい体質だったりしますか?」
「え、そんなことはないと思うんですけど…。
浅弥が私に隠していたらわかりません。」
「そうですか。とりあえず依頼は受けますね。
昨日見かけた場所を中心に探してみますので。」
「はい、よろしくお願いします。」
その後、依頼契約や料金などの手続きを済ませ、私は秋山浅弥を探しに事務所を後にした。