決意
目を覚ますと知らない天井だった。周りを見ると私にはいくつもの管が繋がっており、いくつものパネルが見えた。どうやらここは病院のようだ。
「雫ちゃん!大丈夫?わかるかな?」
「うん。」
「はーい、もう大丈夫だからねー。
先生、風華雫ちゃんが目覚めました。」
しばらくすると医者であろう男の人がやってきた。
「雫ちゃん、身体の具合は大丈夫かな?」
「うん、大丈夫。」
「それはよかった。雫ちゃんは1ヶ月くらいずっと寝ていたんだけど、何か覚えていることはあるかな?」
その時、あの夜の出来事がフラッシュバックした。
「クリスマスイブの夜…化け物が…お母さんたちを…。そして私が化け物を……殺した。」
「そうか……、まだいろいろと混乱しているとは思うけど、身寄りのない君を預かりたいという人がいるんだ。あの夜、君を保護してくれた人なんだけど……、入ってもらってもいいかな?」
「うん。」
「ありがとう。水星さん、どうぞ。」
呼びかけに答えて1人の女の人が入ってきた。長い黒髪、そして前髪に入る赤いメッシュが印象的な人だった。
「君が雫ちゃんだね?私は水星蘭。
いきなり家族を失ってつらいだろうけど、君の力について教えておこうと思ってね。
その力は君が見た化け物、所謂怪異や呪いなんかを退治することができる力なんだ。
開花するタイミングは人によって違うんだけど、君の場合は家族を殺された絶望や怒りなんかがそのトリガーだったみたいだね。
もし、君が同じ目に遭う人をつくりたくないとか、ご両親の復讐をしたいとかでもいいよ?
なんであれ、力を使いたいというなら私のところに来なさい。その力の使い方を教えようじゃないか。」
この水星蘭という人、正直胡散臭い。でも、私の力のことをわかっているようだった。利用しない手はない。そして強くなるんだ、もう2度とこんな思いをしないために!
「お願いします、師匠。私に力の使い方を教えてください!」
「師匠か…、いいね!
それじゃあよろしくね、雫。」




