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覚醒

 母が倒れた。私の目の前で。私を庇って。


 その時、私の中でぷつんと何かが切れる音がした。

 これが私が力を得た瞬間だった。力が溢れていた。


 化け物は私のその様子に気がつかないまま、とどめを刺そうと再び鉤爪を振り上げる。


 私は近くに落ちていたケーキ用のナイフを握りしめ叫んだ。


「うわぁぁぁぁぁ。」


 力の限りナイフを振り回した。青白く光るナイフを。化け物は小さな傷でしかないというのに異様に苦しみもがき、その目には恐怖の色が見えた。


 何度も刺し、何度も切りつけた。化け物はもうピクピクと痙攣するばかりだった。


 その惨状はそれはもうひどいものだった。化け物の顔は無惨に切り裂かれグチャグチャに、胸や腹にも無数の切り傷がつけられていた。


 血の海となった中心で私は母に縋りつきひたすらに泣いていた。やがて泣き疲れたのか、それとも力を使った代償か、だんだんと意識が朦朧としていき、ついには暗い闇の中へと意識を手放した。


「これは驚いた。まさかコイツを殺してしまうとは…。実に面白い。」


 意識を失う刹那、誰かの嬉しそうに語る声が聞こえた気がした。

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