第39話
数分後。ユーフィアとアルヴィスは闘技場で向かい合っていた。
「互いに異能は禁止。お前は刀のみ、俺はASSのみの決闘だ」
「……はい」
アルヴィスがレイピア型のASSを起動し片手で構える。ユーフィアは王道の正眼を選んだ。異能力者同士の決闘では能力の相性が大きく試合を左右する。今回は異能を封印することで剣士同士の戦況を作り上げた。恐らくこれはアルヴィスの厚意だ。己の剣に迷いがあるユーフィアのために、能力に頼らず刀一本で勝負してみせろということだろう。
「とりあえず上段でも打ち込んでみろ」
「……わかりました」
上段からの一撃はユーフィアが最も得意とする攻撃。ユーフィアは躊躇うことなく一瞬で踏み込み、アルヴィス目掛けて振り下ろした。しかし。
「……っ」
「どうした? 本気で来て構わんぞ。剣ならお前の独壇場だろう?」
アルヴィスは片手でユーフィアの刀を止める。着崩した制服から覗く肌は白いを通り越してもはや青白く、身体の線も細いのにどこにそんな力があるというのか。
本来なら押し切るか、一度距離を取って異能の攻撃に繋げるのだが今回の決闘では能力が使えない。ユーフィアの額に脂汗が滲む。異能を封じられているせいで攻撃パターンが減少。二太刀目の糸口が掴めずユーフィアは背後に跳んで下がった。
「次は、俺から行かせてもらおうか」
「っ! はい!」
ユーフィアが構えると同時にアルヴィスは滑るような動きでユーフィアの間合いを侵略する。ユーフィアはアルヴィスの剣を見たことがない。警戒しつつ剣の軌道を目で追いユーフィアは防御を選択した。が。
「な……!」
アルヴィスの振るうレイピアは攻撃の途中で軌道を変え、ユーフィアの防御をすり抜ける。手首を柔軟に使った攻撃の変化。直前で回避に成功したものの、二度目は躱せない。想定外の攻撃など、ユーフィアは何千、何万と経験している。それこそニーナの太刀筋も読みにくく剣を合わせると毎回苦戦させられた。だというのにアルヴィスの剣は誰の剣よりも怖い。少しでも気を抜けば喉を切り裂かれそうな、急所に食らいつく獣のような恐ろしさがある。
「ほう、躱したか。流石だな」
「……今のは」
「ただタイミングと軌道をズラしただけだ。真っ向勝負では話にならんからな。受けに徹するならまだしもお前相手に攻撃を仕掛けるならこれくらいはする」
アルヴィスはレイピアを構えるとユーフィアを見据えた。
「さて、続きといくか。次は中段だ。打ち込んで来い」
「……はい!」
ユーフィアも刀を握り直す。そして壮絶な斬り合いへと雪崩れ込んだ。




