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シリーズものです。
某日。僕たちはファミレスに来ていた。テスト勉強をするとき、僕たちはよくファミレスに集まった。
しかし、今日はいつもの3人にもう1人加わっていた。
「これはこの公式使うんだよ」
「あ、なるほど」
彼女は僕が教えた公式を使って計算し直した。
「できた。かなめくん教えるの上手いね」
「数学は得意だからね」
まこっちゃんはノートにペンを走らせる。
「うん、よし。数学完了」
彼女は数学ノートを閉じて、カバンから別のノートと教科書を取り出す。
「次は古典だ」
「国語なら典男だな」
対面の典男を見る。典男はノートに英文を書いている。ちなみにその隣にいるトオルは英単語帳を苦い顔して見ていた。
「まだ、終わってなさそうだし、ちょっと休憩しようか」
「そうだね」
僕たちは席を立ってドリンクバーへ向かった。
彼女はウーロン茶、僕はメロンソーダをコップに入れて席に戻る。
「今回のテストはいい点取れるかも」
まこっちゃんはストローでコップのウーロン茶を飲む。
「そう?」
「うん、かなめくんと青山くんが教えてくれるからね」
「いつもは誰とやってるの?」
「かおるちゃん、って言ってもわかるかな?」
「もしかして桃乃井薫さん?」
返答したのは典男だった。彼の英語の書き取りは終わっていたみたいだ。
「知ってるのか?典男」
「知ってるも何も学年美女ランキングトップの桃乃井さんだよ」
「何もかも初耳」
「そうだね、その子だよ」
まこっちゃんが答え合わせしてくれた。
「うっそだろ!あの子と友達なのかよ!」
典男のテンションが露骨に上がった。若干鼻息が荒くなって口角も上がっている。
「きも」
思わず声が漏れた。まこっちゃんも口にはしないが、内心同じことを思っていると思う。
この話題はこれ以上続けるのはいけないな。典男が興奮する。
「典男、そっちの英語終わったならまこっちゃんに古典教えてあげな」
「もうちょっと桃乃井さんについて聞きたい」
「終わってから聞きなさい」
僕は半ば無理やり典男と席を交代する。
「ふぅ、トオルは英語どう?」
「watashi nihongo wakarimasen」
「あちゃー」
苦手な英語に脳がオーバーフローを起こしていた。
「今回の試験範囲の単語覚えよう」
僕は単語帳を開いて固まったままのトオルの腕からひったくると、机において該当ページを探した。
ふと、前方の2人が気になって、視界の端で確認する。
2人は間に置かれた教科書を見ている。そして、時折典男が指差して教え、それをふむふむと聞きながら彼女はノートにメモを取っている。
なんだか、お似合いの2人に見えた。
その時、先日トオルとの2ショットを撮られたことを思いだした。
仕返ししよう。心の中の悪魔が微笑む。
2人に気づかれないようにそっとスマホを取り出す。
突然、僕の腕が掴まれた。トオルだった。
「要それはダメだよ」
小声で僕を制す。僕も小声で反論する。
「何だよ、典男が先にやっただろ」
「やられて嫌だったことはしちゃダメだよ。それに黄瀬を巻き込む」
撮ったその写真でどうしようというつもりはない。ただの自己満足だ。でも、やられていい気分ではないだろう。それにまこっちゃんはとんだとばっちりだ。
スマホをスッと自分のポケットに戻す。
「ごめん、軽はずみだった」
「大丈夫だ。要はちゃんと反省できるからな」
トオルは僕の頭を軽くポンポンと叩いた。
「それより、俺に英語教えてくれないか」
「うん」
開かれた単語帳には[反省 reflection]と書かれていた。
狙ったような単語に僕らはクスっと笑ってしまった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。




