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シリーズものです。
「今日集まってもらったのは他でもない」
土曜日、僕たちは珍しく典男の家に呼ばれていた。僕たちは玄関前にいた。
「最近、俺らは睡眠不足だ。その理由はなんだ」
教官みたいに指を指されて僕は答える。
「夜中までペレをしているからです」
ペレとはPAYLEX RECORDのことで、僕たちが嵌っているオンラインゲームのことだ。
「その通りだ。なんでそんな事態になっている」
今度はトオルに答えを求める。
「今シーズンの成績がいいからです。ランクアップも圏内だからです」
「そうだ。そのせいもあって、最近の睡眠時間が平均3時間しかない。これは由々しき事態だ」
そう言いながら、典男は庭の方に歩いていった。
僕たちも後ろからついていく。
「そこで俺は一計を案じてあるものを用意した」
「あるもの?」
庭に出るとそのあるものが目に入った。
「じゃじゃーん。ハンモックを用意しました」
そう、そこには自立式の大きなハンモックが庭の真ん中を占めていた。
「「うおおお」」
僕とトオルはテンションが上がった。
ハンモック。使ってみたいが、家にほしいかと言えば微妙なアイテム。友達や知り合いにあると嬉しいくらいのアイテム。
「マジ!買ったの!?」
僕は思わず訊いてしまった。
「ああ、親父が買ったんだよ」
典男は得意げだった。
「な、なぁ。早速寝てみていいか?」
トオルが興奮気味に尋ねる。
「まぁ、待て」
そんな彼を典男は止める。
「折角なら最高のコンディションでしたいだろ」
典男は小さな屋外テーブルを物置から引っ張り出した。
それをハンモックのそばに置く。
「ちょっと待ってろ」
彼が縁側から室内に入る。しばらくしてから彼はお盆を持って帰ってきた。
僕たちはそのお盆の上の物を見て喜びが湧き上がった。
「つっめたいジュースだ」
氷が入ったコップとペットボトルのジュース。暑い日には最高だ。
彼はお盆をテーブルに置き、コップにジュースを注いだ。
炭酸が氷に当たって泡が沸き立つ。シュワシュワと音を聞いて喉が渇いてきた。
「さあ、寝そべっていいぞ」
「典男、お前最高」
僕たちは喜び勇んでハンモックに乗った。
ゆらゆらとハンモックが揺れる。心地よい風と暖かな日差しが差し込む。
ファミリータイプの大きなハンモックに僕たちは寝そべった。
時折、喉が渇いたらそばのジュースを飲む。炭酸の刺激と甘味が口を満たす。
30分くらいそれを楽しんだら、僕たちは自然と眠ってしまった。
目が覚めると、空は茜色に染まっていた。
3時間近く眠っていたようだ。
質の良い睡眠体験だった。ぐっすり眠れて僕は大満足だ。
「サンキュー、典男」
「ありがとう」
僕とトオルは彼に感謝した。
「これで今日はしっかり寝られたな?」
は?
「今日はこのまま帰ってランクアップ耐久だ」
「勘弁してくれ」
結局、僕たちは翌日の朝まで耐久することになった。
おかげで日曜日の僕は丸1日寝る羽目になった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。




