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シリーズものです。

 廊下の開いた窓に両肘を置いて、僕と典男は外の景色をぼーっと見ていた。心地よい風が顔に当たる。

 僕たちは部活の助っ人に呼ばれたトオルが戻ってくるのを待っていた。

「なぁ、要。結局気になっているのは誰なんだよ」

 僕の顔を覗くように見てくる。

「言わないよ。それとも何か、親友に隠し事はナシとか言いたいのか」

「言わねえよ。興味本位だ」

 典男は正面に向き直って、外を眺める。グラウンドから野球部の掛け声が聞こえる。

 2人の間に沈黙が訪れる。僕は黙ってお茶を飲む。

「紫野塚さんか?」

 今度は顔を向けずに突然言った。僕は思わずむせた。

「やっぱりな」

 別段驚く様子はなく、典男は確信があったようだ。

「わかってたのか!?」

「秘蔵ファイルで教えたばかりだったしな」

「そうだよ!あのファイルのせいだ。情報が曖昧過ぎて自分で確かめに行っちゃったんだよ」

「えー、俺のせい?」

 典男は窓から離れて壁に背もたれた。

「通もう少しかな」

「多分な」

 またもや沈黙。典男はいつになく真剣な表情で考えている。

「なぁ……」

 彼は言葉を探りながらゆっくりと言葉を紡ぐ。

「本当にそれだけか?他にも理由があるんじゃないか?」

 典男は踏み込んだ質問をした。下手したら3人の関係性が変わりかねない質問であると自覚しているかもしれない。

 僕は困った。

 正直にトオルが気になるという女子に嫉妬したから、とは言えない。

 でも、長い付き合いの典男に僕のヘタクソな嘘はすぐにお見通しになってしまう。

 僕は正直に答えることにした。ただ素直には答えない。

「あのトオルが女子の話をするのが珍しくて、朔さんにちょー興味が湧いて……」

「わかる」

 典男は僕の望むように受け取ってくれたみたいだ。

「あの女の気配の一切ない通が印象に残ってるだもんな。期待するし興味が出るよな」

 彼は腕を組み、うんうんと頷いている。

「そうして偵察してみたら、本人に見つかって練習相手に」

「まぁ、そうだな」

「おーい、おまたせ」

 トオルが廊下の向こうから駆けてくる。彼はタオルで汗だくの顔を拭っている。

「おつかれ」

 僕は持っていたスポーツドリンクのボトルを彼に差し出す。

「サンキュー」

 受け取ったボトルの蓋を開けて一気に喉に流し込んだ。

「ふー、それで、何の話をしていたんだ?」

 彼は再度汗を拭きながら尋ねる。

「いやー、お前は全然女子の話しないよなって」

 典男が要約して伝える。

「だって、それ言うと典男が暴れるだろ」

 ん?何その言い方。それじゃあまるで……。

「お前、女子と仲良くして……まさか俺たちに内緒で付き合ってんのか!?」

「いや、付き合ってはないよ」

 ほっ……。

「ただ、たまに女の子に話しかけられたりするんだよ」

 安堵できねえ。

 やっぱりトオルはモテるのか……。

「お、お、おま、俺たちに内緒で女子と会話ぁ!?こ、この裏切り者~!」

 いつもの典男に戻ってきた。

 典男はワナワナと震えている。

 それを見て、トオルが失笑した。

「何が可笑しい!」

「いや……」

 トオルは呼吸を整えてからしゃべった。

「それを言うなら、要だって……。桃乃井や紫野塚といつの間にか仲良くなっていただろ」

 飛び火した。

「かなめ~」

 般若の形相で典男が睨む。

「今はトオルの流れだろ」

「どっちもだ」

「スマン」

 僕は片手で謝って走り出した。

「待て」

 典男は追いかけてくる。

 僕は逃げながら、パズルのピースがぴったりはまるような、いつメンの居心地の良さを感じていた。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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