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シリーズものです。
目立つことは極力避けたい。そういう性分なのだ。
だがどうも最近そういうわけにはいかなくなった。
「いやー、一度こうして話したかったんだよ」
僕たちの教室はいつもと違う緊張感があった。
お昼休み。各々が好きな場所でご飯を食べる。
僕たちは自分の教室で机を囲んで食べる。
教室で食べるクラスメイトも同じようにしている。
だから、他クラスから食べに来る学生は良く目立つ。
それが、学校の有名人ならなおさらだ。
「俺は……夢を見ているのか」
今回ばかりは典男に同意だ。夢であってほしい。
「マコも友達なら一緒に食べればいいじゃん」
薫さんはまこっちゃんの脇を小突く。
「かおるちゃん、あのね、小学校の時と違って、男女はなかなか一緒に食べないというかね……」
「何?そんなの気にしてるの?」
「私には結構大事だよ」
他クラスに来てしまったまこっちゃんは落ち着かない様子だが、薫さんはさほど気にしていない様子だ。
僕たち5人は机を合わせている。
「こうやって黄瀬と食べると小学校の時を思い出すな」
トオルが弁当を開けながら言う。
「そ、そうだね」
「幼馴染みってやつ?いいなー、羨ましい」
薫さんがコンビニ袋からサンドイッチとペットボトルの紅茶を取り出す。
「私も欲しかったなー、幼馴染み」
そう言って彼女は紅茶を飲む。
「そ、それで今日は何用で?」
典男がニヤニヤと胸元を見ながら尋ねる。ナイス。下心は別として訊いてほしいことを訊いてくれた。
「んー?あー、この前はみんなライブ来てくれてありがとうね」
「へへ……いやいやどうしたしまして」
典男がペコペコと頭を下げる。
「そのために?」
お礼のためだけに来たようには見えなかった。
「また来てくれると嬉しいな」
「機会があればぜひ」
トオルが答える。
「典男くんも来てくれるよね?」
彼女は甘えた口調で尋ねる。
「ぜひいきましゅう~」
典男に効果は抜群だ。
「要くんもね」
「まぁ、みんなが行くなら」
「うんうん、こうやって固定客を増やすのは大事だね」
彼女は腕を組んで頷く。大きな胸がグイッと押し上げられる。典男から「おお~」という声が漏れる。
「それと、要くん、今度は一緒にやろうね」
省略して言うな。誤解される。
ガタッ
典男は座れ。
「なにをやるんだ?」
「セから始まることだよ」
「セ!?」
典男をからかうな。
「セッションだよ、セッション!」
僕は声を上げて答えた。
「なんでセッション?」
まこっちゃんが疑問符を頭に浮かべる。
「この前ピアノを弾いててねー」
「え、かなめくん。ピアノ始めたの?」
「え、あ、まぁ、趣味でね」
「えー、またかなめくんの演奏聴きたいなー」
「上手かったよ」
「だからセッションってこと?」
「そうそう」
典男が僕に小声で話しかける。
「お前、プライベートで桃乃井さんと会ったのか」
「たまたまな」
「……私服はどんな感じだった?エッチだったか?」
「ノーコメント」
あの服装を話したら絶対ロクなことにならない。
「まぁ、セッションの話はまた今度でもいいよ。またお昼にお邪魔しに来るから。マコと」
「え?」
巻き込まれたまこっちゃんが驚きの声を上げる。
「でも、最近の要は俺たちと昼メシしないこともありますよ」
典男が余計なことを口走る。
「そうなの?」
「何か俺たちに隠れてコソコソしています」
お前は薫さんの下僕か何かか?傀儡か……。
「ふーん?」
彼女は悪戯っぽく目を細めた。
僕は直感的にマズイコトになったと確信した。
最後まで読んでいただきありがとうございます。




