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シリーズものです。
「あああ!」
放課後、典男は当然叫んだ。
教室内に残っている生徒は皆振り向いた。そして、それが典男だとわかると、「またか」と言わんばかりに各々やっていることに戻った。
だいたいこういう時の話題は決まっている。
「どしたー?」
棒読みでとりあえず尋ねてみた。
「どうして、俺はモテないんだああ!」
「もう答え出てるじゃん」
話を聞いていたトオルが口を開く。
「またか……。今月で何回してるんだこのやり取り」
「6日ぶり3回目です」
「発作の間隔が狭くなっている。もう長くはないな」
「そうですね、ご家族に連絡します」
僕はポケットからスマホを取り出す。
「おい、マジで止めてくれ」
冷静になった典男が制止する。
「でも、ホントに急にどうしたんだ」
「それはね、トオル。高校二年生も約1ヵ月。これからゴールデンウィークに入ろうというのに、相も変わらず僕たちとつるむ毎日。変化しない人間関係にさすがに焦りを感じているんだよ」
「マジな分析をしないでくれ」
「でも、こんなことやるのは逆効果だぜ」
典男は机に突っ伏して愚痴る。
「お前らはいいよなー。モテるんだから」
「いや、だから僕のはモテとかそういうんじゃないから。あれだから、カワイイネコ見つけた時の感じだから」
「それでもチヤホヤされてるじゃんかー」
「それは……僕の顔がいいからね」
顎を擦りながら軽くドヤってみた。
「ぐああ、悔しい!」
本当に悔しそう。
「でも、典男も黙っていればモテるって」
「黙れねえから無理なんだい。そもそも付き合ったりしたら黙ってられないだろ」
「典男の話はおもしろいから大丈夫だって」
優しいトオルのフォローが入る。
「かぁー、モテてる男は余裕があってええですなー」
「そうか?」
「背が高くてスポーツ出来て、それで自覚がないだとぉ!?」
「トオルはかっこいいよな」
「お、おお、褒められてる?ありがとう」
トオルは頭を掻いて照れ笑いした。……ちょっとドキッとした。
「これで欠点がないときた」
「欠点ならあるだろ」
僕は典男の発言に訂正を入れる。
「下ネタがツボ」
「えー、俺そんなことないと思うんだけどな」
フリが来たのでボソッと呟いてみた。
「オホーツク海」
「ブフォッ!」
「弱すぎんだろ」
トオルは腹を抱えて笑っている。
「これで下ネタ判定はスケベだぜ。いやー、嬉しいよ。通も立派な男子高校性欲があるんだな」
「変な造語生み出すなよ」
「フフッ……!フフッ……」
これでもツボるのか……。
「いや、でも実際さ。典男がモテないのは、口だけで行動しないからだよね。1人でも女子に話しかけたの?」
「え……。急に刺してくるじゃん」
典男はショックで顔が引きつっている。
「いや、そろそろ僕たちも急にモテないと叫ぶ人間と友達って認識されてることに辟易しているんだよね。改善してくれないと」
「くっ……、わかった……。俺もう叫ぶの止める」
「そっちを直すのか……」
「いや、典男が本気で恋愛するんだったら俺たち応援するぞ」
「うんうん」
僕は力強く頷いた。
「いやー、恋愛したいにはしたいんだけどさ……」
典男は恥ずかしそうに頬を爪でポリポリとひっかく。
なんだー?この期に及んでまだ後ろめたいことを言うようなら許さんからな!
「2人とつるんでる方が楽しくって……このままでも良いかなって思っちゃうんだよ……」
「典男……」
僕とトオルは互いに顔を見合わせた。
「「へへ……」」
許した。
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