17
シリーズものです。
すっかり忘れかけていたが、今から僕はまこっちゃんの所へ行かないといけない。
落ち込んでいる典男はトオルに預けて僕は彼女の教室に向かった。
「まこっちゃーん」
僕は2-5の教室を開いて彼女を探した。
「あ、かなめくん」
席に座っている彼女が手を振る。隣にいる子が薫さんだろう。
僕は彼女たちに近づく。
「ごめんね、この前はいなくて」
「いいよ、いいよ。それより見てこれー」
彼女はカバンから1枚の紙を取り出す。それはテスト用紙だった。右上には赤字で75と書かれている。
「かなめくんが教えてくれたから数学で高得点取れたよ。ありがとう」
満面の笑みで感謝を述べる彼女に僕は嬉しくなった。
「どういたしまして」
「また勉強会に誘ってね」
「もちろんだよ」
「それでね……」
まこっちゃんが横の女子にチラリと視線を移した。
「とおるくんたちには話したんだけど今度の勉強会にここにいるかおるちゃんも連れてっていいかな?」
僕は薫さんに目を向ける。
僕と目が合った彼女は軽く手を振って挨拶した。
「どーも。桃乃井薫です」
少し彼女の口角が上がり、丸みを帯びた垂れ目が細くなった。顔は綺麗というよりかわいい感じの印象を受け、セミロングの髪が肩にかかっている。
髪先を見ると、自然に視線がその膨らみへと伸びてしまった。典男の言葉を思い出す。
「男の人ってみんな好きだよねー」
彼女は僕の視線を遮るように胸を手で隠した。整えられた綺麗な爪が目に入る。
僕はハッとなって視線を逸らす。
「ご、ごめん……」
「いいよいいよ。慣れてるから。君の友達よりかは露骨じゃないしね」
典男の好感度が落ちていることを知った。まぁ当然か。
「私もさ、数学苦手なんだよね」
彼女は自身の爪を眺めながら呟く。
「だからマコみたいに私のも数学教えてほしい」
「僕でよければ……」
胸を見た罪悪感もあって僕は二つ返事で了承した。
「てかさ、要くんまつ毛長くない?」
彼女は僕の顔を覗き込むように顔を近づけた。フローラルな香りが鼻腔をくすぐる。
「いいなー、羨ましい」
彼女のパーソナルスペースの近さに僕はたじたじだった。
「かおるちゃん、そろそろ練習行かないといけないんじゃない?」
まこっちゃんが助け船を出してくれた。
「ん、そうじゃん。そろそろ行かないとね」
彼女はカバンとギターケースを背負う。教室を出る前に彼女は僕たちに振り返って言った。
「教えてくれるお礼じゃないけど、今度私たちのバンド聴かせてあげる。じゃあね、マコ。それと要くん」
そう言って彼女はこの場を後にしていった。
「大丈夫、かなめくん」
僕の心臓の鼓動はまだ速いままだ。
「うん。少しびっくりした」
「彼女、距離感近いからね。驚くよね」
あの胸で距離感近いのはダメだろ!
……ん?
「誰とも距離が近い?」
まこっちゃんが察したように苦笑いをする。
「うん……」
僕は以前の典男の態度と彼女の表情から、絶対に典男がやらかしたことを察知した。
最後まで読んでいただきありがとうございます。




