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シリーズものです。

 僕は今教室から廊下を覗いていた。

 どうしてそんな状態になっているか。僕は今からまこっちゃんの所へ行こうとしていた。先日会えなかったために。

 ということで教室を出ようとしたのだが、何やら外が騒がしい。

 第六感というか、嫌な予感を感じたのでそっと戸を開けた。

 そこにはだいだらぼっちが!

 ……ということはなく。見覚えのある高身長女子がいた。朔さんだ。彼女がなぜか2年生の階にいた。

 それだけなら周りがこれほどざわつくわけがない。

 ただでさえ背の高い彼女が女子を肩車している。そのせいで上の子は天井スレスレだ。その子は敬礼のポーズのように額に手を当てキョロキョロと辺りを見回していた。

 十中八九僕だろ、探してるのは。

 嫌だなぁ。あんなに目立っているところに出るの……。

 教室側から見れば僕も大概おかしな状態だが。

 観察していると、またも見覚えのある女子が2人に近づいてきた。()()()()()だ。

「聞いてきたよー、2-2にいるって」

 終わった……。

「要、どうした?」

 さすがにトオルが心配して近づいてきた。

「あー!何でもない。行ってくるね」

 僕はトオルの返事を聞かずに廊下に出た。

「ん!いた!発見!」

 やっぱり僕なんだね。

 件の集団は僕のもとに近寄る。肩車された子が朔さんの頭を2回軽く叩く。彼女は指示を受けたロボットのように彼女をゆっくり降ろした。

 降ろされた彼女が僕の前に立つ。小さい。僕が160センチほどしかないが、そんな僕の肩辺りまでしか届いていない。140センチ代だろうか。

「あなたが一色先輩ですか!」

 その体格とは裏腹に彼女ははきはきと大きな声で尋ねてきた。

「はい、まぁ、そうです……」

「はじめまして!水嶋優貴(みずしまゆうき)です!」

「妹の優里(ゆうり)です」

 隣の保護者さんも頭を下げて挨拶した。おそらく僕も自己紹介した方がいいだろう。

「一色要です」

 優貴さんは僕の顔をジロジロと見て言った。

「なるほど!一色先輩は女の子みたいな顔ですね!」

 ここまではっきりと言ってこられたことがなく少し面食らった。

「はは、よく言われるよ。それで、3人は何の用事かな」

「そうでした!実はお願いがあります!朔のお友達になってあげてくれませんか!」

「友達?」

「はい!朔は男の人と話すのが苦手なんです!」

 僕は朔さんの顔を見る。相変わらず表情の変化が乏しくてよくわからない。初対面の時の会話のぎこちなさは苦手意識からだったのか。

「そうなんだ。僕とはちょっと話せたけどね」

「そこなんです!」

 優貴さんは体を乗り出す。優里さんが肩を持って戻す。

「苦手な朔が男の人と話せた!これは大きな進歩なんです!」

「つまり、僕に練習相手になってほしいと?」

「不躾なお願いで申し訳ありませんがどうかよろしくお願いします!」

 彼女は45度の綺麗なお辞儀をした。

「そ、そんなかしこまらなくてもいいよ。……うん、わかった。僕で良かったらお手伝いするよ」

 顔を上げ、彼女は満面の笑みで喜んだ。

「本当ですか!?やったな、朔!」

 優貴さんはバシバシ遠慮なく彼女の体を叩いた。痛くないのか?朔さんは表情に微塵も出さない。

「それでですね、先輩」

 優里さんがサッと間に入ってきた。

「できれば連絡先を交換したいんです」

「ああ、そうだね。いいよ」

 僕は彼女たちと連絡先を交換した。

「あ……一色……先輩」

 交換した画面を見て朔さんは言葉を紡ぐ。

「ありがとう……ございます」

 少し顔を綻ばせ、照れた口調で彼女は感謝を述べた。

 うっ!これは凄まじい破壊力。普段表情が硬い子がこんな顔を見せるなんてギャップがえぐい。

「ほー、要君。隅に置けないねえ」

 僕の肩を組んで典男が会話に入ってくる。

「ちゃっかり女の子と仲良くなっちゃって。後で話聞かせろよ。あ、はじめまして俺は要の友達の……」

 そこまで言って、僕らは違和感に気づいた。先ほどまで表情がほんの少し豊かだった朔さんの顔が死んでいた。

「あー!男の人が増えて朔のキャパシティがオーバーしました!」

「ごめんなさい、先輩方。私たちは行きますね。失礼します」

「失礼します!」

 2人は朔さんの腕を片方ずつ掴んで引き摺りながらそそくさと去って行ってしまった。

 やっちまったと肩を落とす典男。そんな典男の肩を僕は無言でポンと叩いた。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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