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シリーズものです。
他学年のいる階は中々通ることはない。だから、緊張する。
僕は階段の端から廊下を眺めていた。廊下には1年生ばかりだ。
そうか、1か月ほど前まで中学生だったんだな。道理で初々しいわけだよ。僕もこういう時期があったんだ。歳を取ったよ。うんうん。
って、違う違う。そんな感傷に浸っている暇はない。
僕は今日、偵察に来たのだ。
紫野塚朔。
トオルに気がある疑惑の子だ。僕はその真偽を確かめねばならない。
友達として、あくまで友達としてだ。
でも、どうやって見つけようか。
典男の情報だと背が高いボーイッシュな子としか書いてなかった。せめて写真くらいあってほしかったが、盗撮なんてしていたら典男と縁を切ることになったはずだ。
うーん、とりあえず廊下を一周回ってみようか。
それで、目に付いた子を観察してみよう。
わからなかった。
どれも同じくらいの身長に見える。確かに周りの女子よりも背が高い子がいたが、それは近くの子と比較して、だ。その子の身長が低ければ相対的に高く見えるだけであって、背が高いと判断ができなかった。
どうする?もう一周しようか。
でも、妙に抵抗があった。
先ほど一周した時、何人かが僕の顔を見ていた。多分、他学年が1年生の廊下を歩いていることが珍しかったからだと思う。
だから、もう一度廊下を回ったら目立ってしまいそうだ。
今日はこれぐらいにしよう。
また明日にでも確認しよう。
僕は踵を返して、2年の階に戻ろうとした。
振り返ると、視線が合った。
多分、1年生の子だ。その子が僕の顔を覗いていた。
全然気づかなかった。こりゃあ、新一も後ろから襲われますわ。
「え」
思わず素っ頓狂な声が出てしまった。
「あの」
その子はおずおずと尋ねる。
「2年の一色先輩ですか?」
「え、僕のこと知ってる?」
「もちろんですよ。去年の文化祭で有名な女装先輩」
なんだそれ。え、そんなに噂立っていたのか。確かに目立っちゃってはいたけど。
「誰かに用なんですか?」
「……あー、そうだねぇ」
歯切れが悪くなってしまった。
僕を知っている人に答えるのは何だか恥ずかしかった。
それに僕がその子を気になっているという噂になりそうで憚られた。
いや、気になっているのは事実なんだけどね。そこはまぁ、話せないし複雑だ。
「何でもないよー、たまたま、たまたま通りがかっただけだから」
作り笑いを浮かべてその場を後にしようとした。
だから、前をしっかり見ていなかった。
ドン
誰かにぶつかって転んでしまった。
「あ、ごめんなさい」
僕はすぐに目を開くが視界の先は足元だった。相手は転んでないみたいだ。
僕は視線を上げた。
ぐんぐんと目線が上がっていく。
女子だよな?
見上げる途中で見えた制服は女子生徒の恰好だった。
それなのに予想よりも断然高かった。
見上げ終わるころには、高身長の女子と目が合った。
トオルと同じくらいの背丈の女の子。僕は思わず言ってしまった。
「うおっ……でっか……」
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