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シリーズものです。
「お前らの女子の友達を作るぞ」
「あの話続いていたのかよ」
こいつは意外と根に持つタイプだった。
放課後の教室、いつものように3人で集まっていた。
「でも、知り合いってどうやって作るんだ?」
トオルが当然の疑問を口にした。
「確かに。僕たちの知り合いはまこっちゃんだけだ」
「ふっふっふっ……」
典男は気持ち悪い笑い方をした。
「そこはすでに計算済みだ」
「黒幕か?」
「黒幕みたいな話し方」
典男は一冊のノートを取り出した。
「我が校の美女のデータを集めた秘蔵ファイルだ!」
「そうとこだぞ、モテないの」
「今回は何のフォローもできないな」
僕とトオルは典男の謎の行動力に呆れた。
「プライバシーや肖像権等もあるので写真はないです。ただ文字だけです」
「そういう配慮が逆にキモい」
「できれば捨ててほしい」
トオルは僕たちの言葉を意に介さずノートをパラパラと捲る。
「それじゃあ、気になる子を選んでくれ」
「ギャルゲの親友枠か?」
目次と思われるページを僕たちに見せてきた。確かにそこには女子の名前が羅列してあった。
毛ほども興味はないが、とりあえず覗いてみた。
「知らない名前ばっかりだ」
「俺も」
普段女子を見ていないことを自覚させられた。多分、他の男子ならピンと来るんだろうな。
だからこそだろうか。聞いたことがある名前に僕は反応した。
「あれ、これ。桃乃井薫って確かまこっちゃんの友達……」
「そうなのか?」
あっ、あの時トオルは脳が融けていて記憶がないのか。
「お目が高いね」
典男は僕の選択に満足そうだった。
なんだそのテンション。やめろ。
「桃乃井薫。高校2年生。部活は軽音楽部。ギターボーカル。…………」
「え、以上!?」
「さっきまでの威勢はどうしたんだ」
典男は必死に他の情報を思い出そうとしていた。
「あと、あと、おっぱいが大きい」
「ク、クソ野郎!」
「ギターストラップがおっぱいを強調してエロい」
「おっぱいから離れろ!」
ダメだ。こいつの情報は何の当てもない。
「もうちょっとデータがないと何もできないぞ」
トオルが言う。
「だって、だって、1人でこっそりだと全然情報集まらないもん……」
「当人と話して情報引き出せよ」
「それができたらこんなことしない」
「できなくてもこんなことやるなよ」
典男は項垂れた。
「ったく、付き合って損したぜ」
僕は立ち上がり、カバンを肩に引っ掛けて帰ろうとした。
「あー、待て。要におすすめの子がいるから」
そんな僕を典男が止める。
「おすすめ?」
その言葉が気になってもう一度着席した。
「紫野塚朔。1年生の子でバレー部に入っている。高身長とボーイッシュな顔立ちですでに女子のファンもいるらしい」
「なんでその子がおすすめなんだ?」
「ほら、要と対照的だ。こういうカップリングは王道だろ?」
「帰るかー」
僕は再び立ち上がった。
「行こうぜ、トオル」
僕はトオルに声を掛けた。
「……その子、見たことあるな」
意外な言葉が飛び出した。
「そうなの?」
「ああ、バスケ部の隣がバレー部でな、助っ人に入ってた時に見たんだよ。背が高い子が入ったなって」
「よく覚えてるね、バスケ部の助っ人ってゴールデンウィーク前でしょ」
「あー、それがさ、やけにその子と目が合ってさ。それが印象的で覚えていたんだ」
は?
「おー!?これはもしかして要じゃなくて通の方だったか!」
「たまたまだと思う。結局話してないしな」
どういうこと?その子トオルに気があるの?だって、よく目が合うって、ずっと見てたってことでしょ?気になってたってことでしょ?
はぁ?
「紫野塚さん、ちょっと興味が湧いたかも」
それは恋愛対象という意味ではなく、ある意味でのライバルとしてだ。敵はちゃんと知っておいた方がいい……。
最後まで読んでいただきありがとうございます。




