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4、頭突きして土下座して


頭突きは良い感じに、相手の顎に直撃した。

痛みという代償を払ったが、手応えはあった。

木箱から飛び降り、しゃがみ込むボサボサ頭の横に着地し、早々に立ち去ろうとしたのだけれど……。


「ぎゃっ!」


足首を掴まれ、倒れる。

頭突きをした時より痛くはないけど、擦りむいた。


「助けてやったのに、この仕打ちはないんじゃない?」

「離せぇ~!変態ぃ~!」

「うるせぇ、黙れクソガキ」

「やぁ~だぁ~!!」


恩人とか関係ないし!

男に脚掴まれるとか嫌だし!


騒いでいたら、人が集まってきて、ハッとする。

軍人さんまで来てしまう。

自由な方の足で、私の足首を掴む手を蹴りつけて逃げ様としたけど、離してくれない。

こっちの世界の奴はなんでこんなしぶといの!?


「足癖(わり)ぃなぁ、ちょっと大人しくしろっての」


手を離したから、今度こそと思ったら後ろに引っ張られ軽々と担ぎ上げられた。

集まってきた何人かが、この男に「人拐いは止して下さいよ船長」「船長、幼女趣味っスか?」とか笑いながら声を掛けていた。

笑ってないで助けろや!

男はそれに対し「(ちげ)ぇ」「うるせぇ」「仕事しろ」と返して、私を担いだまま近くの大きな帆船に乗り込む。

マジで人拐いに合ってるのかな……?

内部にまで入っていき、一つの部屋の中で降ろされた。思ったより、優しく丁寧に。


改めて向かい合った男は背が高くて、百八十㎝はありそうだった。

細身に見えるけど、私を軽々持ち上げるぐらいには筋力はあるのだろう。

肩より長い黒髪はボサボサで、伸ばしっぱなしの前髪から見え隠れする赤い目は意外と優しく見える。無精髭も剃って整えたら、結構イケメンじゃない?

ごめん、今はどうでもいいことだった。


何を言えばいいのか。

男も何も言わないから、沈黙が流れる。

沈黙が怖い!

何か、何か、話さないと。


「……えっと、その、あ、顎……大丈夫っスか?」


ん~!もっと聞き方あった筈なのに!

謝るべきだったよね!?私!


「それ聞く?」

「っ……す、すみま、せん……」


頭は下げよう。

頭だけは下げておこう。

だって、私だって怖かったんだもん!

処理云々聞いて、否定的な言葉を返していないこの(ひと)を信じるの怖いじゃん!


言い訳ばかりを考えていた私の頭を軽く優しくぽんぽんとされる。

顔を上げると……。


「ここには奴らも入って来ないから安全だろ。好きなだけいていい」


思ってもみない、お言葉!


「え……いいの?」

「女子供を簡単に処理するとか言う奴らの気が知れないからな」


思ってもみない、ご恩!


「あ、ありがとうございます!」


感謝の土下座しました!!









【嵐が何処で吹き荒れ様と太陽はそこに在る】






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