第57話 アイテムをランクアップさせる能力。
『汝に与えし新たな天啓は…』
なあ、ナビシス?
『はい、御主…』
天の声、やっぱりナビシスじゃん。しっかり声色を使い分けてるけど…。
『………』
とりあえず、天の声はナビシスで統一という事で良い?
《是。ナビシスに統一いたします》
うん。改めてこれからもよろしく。ところで新しい天啓…、つまりはスキルだな。どんな能力なの?
《新しい能力、それは昇華のスキルです》
昇華?何それ、教えてくれる?
《是。このスキルは錬金スキルに属し一段階上のレベルにするものです》
へええ…。一段階上にねえ…。
《具体的に言えば同一の物を十個消費し、一つのレベルアップした物を作るといったところでしょうか》
具体的に教えてくれ。
《地球にはRPGがありますよね》
あるな。
《それに登場するポーションというアイテム、あれを十個使って一個のハイポーションを作るのが昇華といったところでしょうか。ちなみにわずかですが魔力を消費します》
アイテムランクアップって事か。
《手っ取り早く言うとそうなります。例えば…材料を昇華させてより上質な材料にする事も出来ます。最近、御主人は製薬の為に様々な物を買い込みましたね》
ああ。色々と材料があれば意外な物が役に立つかと思ってな。
《その中に良い物がありますよ。さっそくやりますか?》
うーん。商業ギルドで夕食を奮発すると言った手前、期待に満ちた…何か食べたそうにしてこちらを見ている二人組がいるからな…。それは夕食の後にしようか。
《分かりました。また、御主人のレベルも上がっております。機会があればご確認される事をお勧めいたします》
ああ、分かった。そこはアンフルーに頼んでみよう。
《では…》
ナビシスの気配が消えていった。
「ねえねえキノク〜」
「ん、キノク…」
そこにお腹を空かせた二人が話しかけてきた。なんて良いタイミングだ、まさに空気が読める二人だ。
「よし、夕食の下ごしらえだ。非常に簡単なものなんだが…、少し時間がかかる」
俺は食パンを手に取り、冷蔵庫に向かった。いくつか材料を取り出す。牛乳に卵にチーズ、その他諸々(たもろもろ)…。他にもいくつか…。まずは食パンの耳を切り落としてそれから…、適当にやったが作業自体は五分程度だ。
「さて、待ってる間に風呂に入るか」
「ボクも〜」
「入る…」
「じゃあサッパリしたらメシにするか」
そのまま俺達は小一時間ほど温泉に浸かった。リーンは浴槽を泳いだり、アンフルーは湯に浸かりながら椎茸のホダ木に魔法をかけたりと思い思いに過ごしていた。俺はと言えば稼いだ金で何をするかを考える。
能力を買うか、生活を便利にするか、商人である俺は稼いだ金が冒険者で言うところの経験値であり、さらには武器にも生活費でもなる。
宝石を売ればでかい稼ぎになるのだが、他に何もしないというのはそれもどうかとは思う。今後の方針も含め色々と考えていくか…。
いかがでしたでしょうか?
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次回、第58話。
『何して過ごそうか?』。
キノクが作ろうとしたのはどんな品か…。




