閑話 冒険者ギルドでは。
昼時のアブクソム冒険者ギルド…。
冒険者は朝早くギルドに貼り出された依頼を受け、それぞれがその目的地に向かう。そして夕方にはその報告や、併設された酒場で一杯やっていく冒険者達で賑わうのだ。
しかしそのどちらでもない時間の昼間帯は閑散とした時間である。そのギルド内で働く者はそのタイミングで様々な雑用をこなす。急ぎでない仕事をここでしておいたり、夕方に備えて準備したり…。探せば仕事というのはいくらでもあるものだ。
だが、何事にも例外はある。受付嬢のパミチョである。彼女は自分の爪磨きに忙しい。毒々しいまでに派手な爪を何やら手入れしている。
「プルチン様は今日あたり帰ってくのかなー。結構良い報酬も出んだろーし、私もなんか奢ってもらっちゃおーかなー」
呑気にそんな事を言って何買ってもらおーかなーと考えていた。
そこに一人の男がやってきた。冒険者ではない。商家で働く従業員のような雰囲気だ。その男が依頼を張り出しているボードから一枚の木の板を受付に持ってきた。
「いらっしゃいませー。これ…、依頼の取り下げみたいな感じですかー?」
「ええ、こちらは解決したようで…」
パミチョは依頼内容を確認する。
「は?これ、カートゥーンボから養蜂場を救うみたいな依頼っしょ?どーしたんですかー、養蜂場諦めちゃう系な感じ?」
とても受付とは思えないようや口ぶりでパミチョは対応する。
「旦那様の知り合いの冒険者の方で今朝現地に行って…、五分とかからず解決したとか…」
「え?マジ信じられないんですけど?でも、それって凄くない?誰がやったの、マジ凄腕じゃん!」
「さ、さあ。名前は聞いてませんが…。三人組だったとしか」
「えー!気になる!でも三人か…、凄いじゃん。その人数で達成とか…。五分もかからず五百万ゼニーかあ…」
「あ…」
「なになに、なんか思いだした系?」
「聞いた話ですが、一人は荷物持ちだとか…」
「え。じゃあ実際戦ってんのは二人って事?」
「でしょうねえ」
「はー。マジ凄え!二人で達成とか。超凄腕じゃん!…ハイ、じゃあこれで。クエスト破棄〜.」
キノクの冒険者証を破棄した機械で同じようにクエストが書かれた木の薄板を破壊した。
「はあ〜、マジすげー。たった五分で五百万とか。いいなー、ウチの冒険者達ビビって誰も受けなかったし。達成出来るとしたらプルチン様んトコくらいかなー」
そう言いながらパミチョはもし五百万あったら何しようかなーなどと自分の物でもない金の使い道を考えるのだった。




