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第28話 前衛、後衛、俺中衛。


 新たにアンフルーが加わり、俺達は三人で徒党(ととう)を組みアブクソム近郊の森に来ていた。リーンは小さいながらも優れた身体能力で前衛を、魔法を使えるアンフルーは後衛を…そして俺は間に挟まれ中衛という事になっている。…なってはいるが、出来る事が無い。お飾りの中衛である。


「気にする事ないニャ。別に危険も無いはずニャし…」

「あくまで今後の為」


 今日の目的は採取と確認である。実際に三人で行動してみて互いの行動パターンを覚える事。その為に採取を行い、その途中でモンスターと遭遇すれば戦ってみる。日没までまだ四時間くらいはあるか、軽い散策といった感じである。


「モンスターの気配は無いニャ。ボク、魚釣りしようかニャ?」


 近くにある水場を見つけてリーンが呟いている。


「なら私は薬の材料を…」


 そう言ってアンフルーは何かを拾い集めている。


 俺はと言えば薬草として広く知られているツル状の草を見つけたので集めていた。これも触媒茸と混ぜ合わせれば冒険者製応急薬(アドベンチャラーズメディスン)になる。値段が付くようなものではないが、今は他に何も目ぼしい物が見当たらない。


「何が薬になるか…、その知識が少ないもんな。覚えられれば冒険者製応急薬以外も作れるようになるかも知れない」


 俺はそんな事を呟きながら何かを集めているアンフルーの元に向かった。


「え…?これは虫か…」


 アンフルーが集めていたのは虫の抜け(がら)のようだった。既に二十を超える数が集まっている。


「虫は意外と栄養がある」


 俺に説明するようにアンフルーが口を開いた。


「特に抜け殻はその体を薄皮一枚残した物…。つまり、余計な物が無い体を作る成分そのもの。滋養強壮(じようきょうそう)(せい)がつく」


「へええ…」


 そうだよな、薬ってただ単に傷薬だけじゃないもんな。何らかの病気に効くものとか…。日本のドラッグストアなら美容健康に効果がある商品なんかもある。…ん?薬を作れれば売れるかな?そうすれば金が稼げて成長出来るんじゃないか?


「キノク…」


 ずいっ!!


 考え事をしてる間にアンフルーの顔が目前にあった。変わり者だが、さすがにそこはエルフの女性。その神秘的な美しさに心奪われる。


「精がつく…。…はあはあ」


 指先に虫の抜け殻をつまみ、にじり寄ってくるアンフルー。


「こういう屋外でというのも中々オツな…」


「あっ!!危ないニャーッ!!」


「…?ぐべらっ!!」


 突如、目の前にいたアンフルーに何かがぶつかり彼女は真横に吹っ飛んだ。代わりに目の前には丸々とした魚が地面に転がっている。


「ごめんだニャ!蹴飛ばして仕留めたお(さかニャ)がそっちに吹っ飛んでいってしまったニャ。アンフルー、大丈夫かニャ?」


 とてててて…。リーンが駆け寄ってくる。


「リーン。正直助かった。内緒で褒めちゃう」


 俺は小さく呟いた。


「ん?なんでだニャ?」


 訳が分からないよといった感じでリーンが小首を傾げる。…が、すぐにその表情が引き締まった。


「…む?」

「ニャッ!!」


 それは同時だった。


 地面に倒れていたアンフルーもまた顔を上げ何かに気付いたような素振りを見せた。


「うう…、イヤな臭いが近付いてくるニャ…」

「負の魔力…?これは…」


「どうした、二人とも?」


「モンスターだニャ!」

「おそらくアンデッド…」


「ええ?アンデッドがこの辺りに出るなんて聞いた事ないぞ!」


「来る…」

「あれだニャ」


 リーンが指差した先、森の木の密集が少ない部分にそいつはいた。距離は200メートルは離れているだろうか…。


「な、なんだありゃ…」


 それは不気味で大きなもの…、ふわふわと宙を浮いている。


亡者群体(レギオン)だニャ。うー、ボクはアイツ嫌いなのニャ。臭いし、迂闊(うかつ)に殴ったら手がべちゃべちゃになるし…」


 リーンが心底から嫌だという表情を浮かべている。


「ならここは私の出番…」


 アンフルーがゆっくりと立ち上がった。


 いかがでしたか?


 作者のモチベーションアップの為、いいねや評価、応援メッセージなどをいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

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