第143話 力を求めて(2) ストリートでファイター?
はどーけn…
しょーりゅー…
「あっ、マスター!画面に新たな職業が追加されましたよ」
RGNが言った通り画面には購入可能な職業が追加されていた。
「なになに…。弩士(new)…?」
パソコンの画面に新たに表示されたのは弩士の文字。
「弩っていわゆるクロスボウの事だよな。ボウガンとか言ったりもするけど…、だからガンナー…なのかな?射手みたいな感じで」
弩士の説明を読んでみると成長具合は弓士と同じく1レベルアップ毎に器用が1ポイント上がる。職業の特性としては弩の扱いに長ける。弓と弩、比べると速射性があるのが弓で待ち伏せとか精密射撃が得意なのが弩って感じだ。
「マスター、弩士は…?」
「当然買う、俺の武器はクロスボウだからな。それが得意になれるなら買うしかないだろう」
弩士も中位職業であるらしく5レベルまで上げるのに1億1千万ゼニーを要した。他にも新しい職業が追加されている。
「マスター、変わった職業の名がありますよ」
「なんだ、こりゃ?喧嘩屋?」
新しく追加された職業はあまりにも聞きなれないものだった。
「説明文には…喧嘩屋は正式な格闘術を習った訳ではないが、街中で喧嘩をして観衆から金を得る者…ってあります。素手での格闘とか流儀流派にとらわれない臨機応変の戦いを得意とする…。達人ともなると手足が伸ばして攻撃したり炎を吹いたりするとか、掌から波動を伴うようなものを飛ばしたり出来るらしいですよっ!!」
「おい、それ…なんか色々とヤバいだろ…。それに達人レベルまでは上がらんよ、レベル5が上限なんだから」
「はわわわ〜、それは残念ですねぇ」
「だけど、レベルアップ時のパラメーター上昇は魅力的だ。体力が1レベルアップごとに1ポイント上がる。俺は体力が低いからな、それに職業の特性も良いな。硬いものを己の体を使って攻撃してもダメージを受けないってのは」
確かあの有名な格闘ゲームでも車を殴ったり蹴ったりしても手足を痛めている演出は無かったしなあ…。
「何にせよ損は無い、購入しよう」
他にも俺は様々な副職業を獲得していった。空手家、柔道家、古武術家、力士…喧嘩屋を購入した後はなぜか様々な格闘技の専門家が表示された。もしかすると喧嘩屋を獲得したことで新たに習得可能となった派生職業なのではないかと俺は考えている。
「マスター、新しく出現した職業は喧嘩屋と同じ価格ですね」
「ふむ、そうなるとこれら各種格闘技の専門職業みたいなのも中位職業の位置付けなのかな。この四つの職業もレベルアップでパラメーター上昇もあるし特殊効果もあるな。…この遺跡の敵には相性が良いかも知れん」
「やりましたねっ、マスター!」
「ただ、接近戦なんだよなあ。全て自分の肉体を武器として戦うっていう…。武器が使えないんだよな」
俺は不安を吐露する。
「でもマスター、それならクロスボウを使って戦い矢を撃ち尽くしてしまった時に役に立ちませんか?武器を手放したら素手です、すぐにスキルが発揮されますよ」
「そう考えればそうだな。あとは持っている技能と組み合わせられる能力でもあればな…、ちょっとシミュレーションしてみるか」
そう言って俺は靴を履き土間に降りて既に持っている技能と同時に繰り出してみる。しかし、なかなか有効な組み合わせは見つからない。
「なかなか上手くはいきませんねえ…」
見守るRGNが声をかけてくる。
「まあ、そんな簡単にはいかないだろうさ。ある意味、無くて当たり前。全然違う系統のスキルだってあるんだし…。まあ、パラメーターも上がってるし、ウッドゴーレムなら今の段階でもなんとかなるだろ」
「そうなんですかっ?」
「ああ、俺の見立てではな…おや?」
なんとなくだが、あるスキルを使いながら拳を振るっているとコレはいけるんじゃないかという閃きが生まれた。ガスがあるので使わないが土間の片隅にある薪を手に取った。
「マスター、何を?」
「実験だ」
そう言って俺はとあるスキルを発動させて手にした薪を軽く殴った。
パァンッ!!
「ま、薪がっ!?こ、粉々に…」
RGNが驚きの声を上げた。俺が手にして殴った薪の部分は文字通り粉砕、木の粉となってあたりを舞っている。
「い、いけるぞ。喧嘩屋の能力で硬いものを殴っても俺の手足は痛くならない。それに新たに加えた副職業の特性もこの遺跡の敵が相手なら相性が良さそうだ。ゴーレムにこの攻撃は必ず効く、…俺の期待通りならまさに相性最高のダンジョンのはずだ。まさにこれはフタエノキワm…」
「あっ、皆さんが起きたみたいですよ」
振り向くとリーン達が布団から起き出してくるところだった、…最後まで言わせて欲しかったな…。
「ふみゅ…、キノク〜!!」
リーンは俺の姿を見つけると本物の猫のように四つ足で畳の上を駆け大きく跳んだ、そのまま俺の胸に飛び込んでくる。俺がしっかり受け止めるとリーンは頬を擦りつけてくる。
「おはよう、リーン」
「ニャ!!」
リーンは元気よく頷いた。
「さっそく朝メシにするか。食べながらみんなに新しく得た能力についても話そう。ボス部屋らしき所だからな、綿密に打ち合わせしとこう。何が出来るか知っておけば連携も陣形もより活きてくるだろうしな」
そう言って俺はリーンを抱えながら居間に戻るのだった。
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次回予告。
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次回、ボス部屋に突入!




