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第139話 相性最高のダンジョン(4) 開闢(かいびゃく)


「マスターの後ろの壁…、なんか変ですよ?」


 RGNは俺を上目遣いで見上げながら確かにそう言った。


「壁が…?」


 俺は振り向いた。長い廊下の何の変哲もない石の壁、辺りと見比べてみるがその差が俺には分からない。


「リーン、アンフルー、スフィア、この壁が何か変らしい。分かるか?」


 俺は仲間に呼びかける。


「くんくん…。駄目ニャ、見た目でもニオイでも分からないのニャ」

「わたくしにも…。なんの変哲もない壁としか…、仕掛けがあるようにも見えませんし…」


 リーンとスフィアには分からないようだ、一方でアンフルーは何やら魔法を唱え始めた。


「…ディティクション(探査)」


 魔法を発動させるとアンフルーは目を閉じ、壁に向かって手を開いて(かざ)していたがしばらくするとその瞳を開けた。


「ん…、ここのことは分からないけど…」


「分からないけど?」


「この壁の向こうには空間がある。奥に長く続く感じで通路が伸びている。通路までの壁の厚さはおよそ2メートル」


 アンフルーの話を元に俺は今まで歩いて来た道のりを書き留めていた方眼紙に奥に続く通路を書き込んだ。


「それにしても…、誰も気がつかなかったんだな」


 RGNが指摘した何やらあやしいという壁を俺は見ているがハッキリ言ってどこが変なのかが分からない。アンフルーは魔法を使って調べたが壁の向こうに空間があることを突き止めたものの壁に関しては何も分からず(じま)い。


「どうしてこの壁があやしいと思ったのニャ?なんの仕掛けも無いみたいニャのに」


 リーンがRGNに尋ねた。


「え?だってここは…」


 RGNは壁に近づくとその前に立った、すると…。


 す〜っ。


「な、なんだと!?」


 俺は思わず叫んだ。なんと壁が音も無く左右に開いたのだ、まるで自動ドアのようだ。


「ニャ〜ッ!!」

「これは…」

「か、壁が開きましたわ!!」


 予想だにしない出来事に俺達は唖然とする。


「か、壁が開くなんて一体どうなってるんだ!?そもそもこれはどんな構造してんだ?」


「ニャ!壁には裂け目の一つも無かったニャ!こんな仕掛けがあるニャんて思いもしなかったのニャ」


 驚く俺達とは対照的にRGNは平然としている。


「これはマスターや皆さんは気づかなくても当然かも知れません」


「どういうことだ?」


「この壁はどうやらわたしのような無生物、魔導人形にのみ反応するようです。そのためわたしには感知できたのでしょう」


 いつになく落ち着いた様子でRGNが応じた。


「ふうむ…、じゃあこの先に行けるのは俺達だけってことか…」


「はい。それにここはわたしが離れると…」


 す〜っ。


 通路の壁が音もなく閉まった、元通りの壁になる。うーん、実に自動ドアのようだ。


「仕掛けがある…、という事はきっとこの先には何かがある可能性が高いとみるべきだろう。どうする、この先に行くか?」


 俺が問いかけるどリーン達は頷いた。RGNは俺の横に立ち賛否を語ることはなかった。あくまで俺の意見に従うということだろう。


「分かった、なら一度部屋に戻って休むぞ。体調を整えて(のぞ)もう、今まで敵はいなかった。もしかするとこの先に待ち構えているかもしれない」


 俺の意見にみんなが頷く。


「それが良い。しかもここは三倍疲労や消耗をする、万全の態勢で行くべき」


 アンフルーが休憩をとることに賛成した。


「よし、休むぞ。丁度良い、食事をとり風呂にも入って寝ることにしよう」



 一方、その頃。


 ジレイ・ホワイトバード達は…。


「くっ、食料や水が残り三分の一か…」


 十日間の探索が可能なように備えたが、何の成果も無いまま時だけが過ぎた。得たのは疲労ばかりである。遺跡から脱出するのに数時間程度、さらに外に出てから宿場町ラーフォンタヌまでの道のりを考えると一日分は食料を残しておきたい。


「攻略どころか何も得る物が無い。敵とも出会さないし…これでは何のために来たのか…」


 他のパーティと比べたら探索した方だが彼らもまたそろそろ撤退を考え始める状況となっていた。

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