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第125話 眠らず休まず働いて返せ。


 冒険者達が支払う慰謝料12億ゼニーの肩代わりを申し出たシェドバーンは三つの薬を用意出来ないかと持ちかけてきた。


 その三つの薬とは栄養剤、そして抗病薬(レジストシック)、最後に眠気覚ましである。その他に保険として怪我を治すポーションこと俺の作った冒険者用応急薬(アドベンチャラーズメディスン)も仕入れたいと言う。


 頭の中でナビゲーションシステムことナビシスに問うと眠気覚ましと栄養剤は作れるらしい。問題はどんな病気を防ぎたいのかによって抗病薬が作れるか作れないかが変わってくるのだが…。


「どんな病気に対する薬なんだ?」


「下水道の仕事を請け負った(モン)がかかる高熱や腹を下したりする症状、あと…手足が腫れたり化膿したりやな」


《作成可能と思われます、御主人様(マスター)


(出来るのか?)


《はい。抗毒薬(レジストポイズン)と同じ原理ですよ。毒を極限まで薄める時に使った減衰茸(げんすいだけ)を使うのです。下水道を流れるものを採取、それを無毒化出来るところまで薄め、他にいくつかの薬効成分を混ぜれば…》


 抗毒薬の時もそうだったがとある毒をほぼ無害化出来るレベルまで薄め投与し体に抵抗力をつけさせる…、つまりワクチンである。


(なるほど、それで不衛生な下水道の中で(かか)る感染症を防ぐのか)


御意(ぎょい)


 そんな脳内でのやりとりを経て薬を作れる事を伝えるとシェドバーンはポンと手を打った。


「ほな、決まりや!ギルドの方も払えへん分はワイが持ちまひょ!」


「ギルドもか?」


「せや!ギルドかて12億は払い切れんやろ。いや、払うっちゃ払えるやろうけど…、そしたら何もかも売り(はろ)うてって感じやろな。素材とかの買取の為にある程度の金はあるやろうけどそれは仕入れた素材を他で売って儲けるから出来るんや。せやけど払うだけなら後が続かん、もう何にも出来へんで」


「そうだろうな」


「せやからワイはギルドも手に入れる。あんさんは金が入る、互いに欲しいモンが手に入るんや」


「え?冒険者ギルドのマスターになりたかったのか?」


「そんな事あらへんがな。ワイが欲しいんは(ゼニ)や。聞いた事あらへんか?下水道の清掃管理の仕事」


「ん、ああ?確か冒険者が引き受けると実入りの良い依頼の部類に入るな」


 下水道の清掃依頼は危険な魔物を倒したり、貴重な物を取ってくるというような難度の高い依頼以外では実入りの良い依頼だ。しかし、仕事場の環境が悪いのとシェドバーンが言っていたような病気になる可能性も少なくない。


 奴隷などを作業に()てる事もあるが、下水道には巨大なネズミが出る事もあるらしい。魔素を吸ってしまいモンスター化してしまった個体らしい。そういったものと出会ってしまう事もあるので対応の為に冒険者に依頼するのだ。労働環境が労働環境だけに人が集まり辛く、病気になるリスクもある。それゆえ高額の依頼となりやすい。


 放っておいて良いのではないかとも思いがちだが、大都市であればあるほど上水道と同じくらい頭を悩ませるのが下水道の扱いだ。あまり杜撰だとたちどころに疫病が猛威を振るう。そしてそれは貧民も王侯貴族も関係無く罹れ(かか)れば死へと(いざな)われる。


「せやろ?だからワイはあんさんに言った薬をコイツらに飲ませて…」


「なるほど、そうなれば食事の時間も睡眠の時間も要らなくなる…。病気にもならないし…」


「せや…。24時間365日不眠不休で働かせるんや、ほんでギルドを支配下に置いて職員で債務を頭割りして返済するまでタダ働きさせたら良いだけの話や」


「ええ〜っ!!」


 職員達から不満の声が上がる。


「イヤや言うなら縛り首になれば良えだけの話や。アンタら勘違いしてへんか、ワイは命の恩人やで」


 ピシャリとシェドバーンは言い放つ。


「依頼達成でギルドが抜く分も手に入る…、アンタもワルよのう?」


「いやいや、それを知ってもやってくれるんやろ?あんさんも中々のワルでいらっしゃる…」


「ふふふ…」


「ははは…」


「「わあっはっは!!」」


 時代劇の定番のようなやりとりをしながら俺と商人シェドバーンは笑い合った。


「まあ、この有象無象とギルドは良えけど…」


「うん?」


「そこの四人はどないするんや?一人アタマ3億、ワイはコイツら買わへんで。(ゼニ)、取れるんかいな?」


 シェドバーンが首を捻る。要は支払い能力があるのかという事だ。おそらく実家である貴族家の方では我が家とは縁もゆかりもない、煮るなり焼くなり好きにしろと言うだろうしな…。


「うーん、そこなんだよな。いや、待てよ?」


 俺はそこでふと考える。


「そういや俺には新しい能力があったな。それに薬を使えば…。スキル、貸金業(かしきんぎょう)、発動!!」


 俺はプルチン達に向き直る。


「待たせたな、取り立ての時間だ。一人3億、キッチリ返してもらおうか」


 いかがでしたでしょうか?


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