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第120話 キノクへの襲撃


「なっ!?ど、どういう事だ、ふざけンじゃねえ!」


 今の今まで笑っていたプルチンが怒りに顔を歪ませた。


「ふざけちゃいない。こちとら本気も本気、このギルドにもお前らのパーティに戻るつもりはさらさら無いぜ」


「か、金払ってンだぞ!こっちはよ!なンで戻らねえンだ!?」


「お前こそ馬鹿言ってんじゃねえ。これは慰謝料、つまり詫び代だ。お金を払いますから今までの事をどうか許して下さい…ってな、つまり謝罪を形にしたその金の事を慰謝料と言うんだ。覚えといた方が良いぞ、そもそもお前達は俺がいなけりゃ依頼の成功は無かったんだから」


「そーいう事じゃねえッ!」


「そうだそうだ!なぜ拙僧らと共に来ないのだ!」


 ハッサムも立ち上がりプルチンと横並びで文句を言った。


「そーよ!それにギルドにも戻らないとかワケ分かんない!」


 飾り立てた付け爪、その派手で毒々しい指先をこちらに向けてパミチョもまたプルチン達に続いて騒ぎ立てた。それに加わるようにしてウナとマリアントワがも騒ぎ立てる。


「俺に何のメリットも無いからだ。確かにモンスターを倒して得た魔石や素材もある、だが売り上げの大半は宝石を売った事によるものだ。分かるか?冒険しなくても俺は売り買いで稼げる。だから必ずしも冒険者をする必要はない」


「だ、だったら護衛は要らねえか?商人は持ってる金や品物を狙われる事もあンだろうが!護衛してやるから考え直せ、なあ?」


「護衛?」


 俺はフンと鼻で笑った。


「ロクに身体能力もなく、魔法も戦技も使えない奴らが誰から俺を守るって言うんだ?ゴブリン一匹倒せないのに?…ああ、もう面倒だ。この際ハッキリ言っとく、お前らなんざとツルむ気は無え!二度と俺に関わるな!痛い目に遭いたくなければな」


「クソが…。ハッサム!」


(おう)っ!」


 プルチンとハッサムは互いに横目で互いを見やった、まるで何かを申し合わせるかのように。


「その猫獣人(ネコ)とエルフは確かに強え…、西洋将棋(チェス)で言やあ僧正(ビショップ)城兵(ルーク)(キング)を守ってるようなモンだ…」


「何が…、言いたいんだ?」


「ヘッ、知ってかァ…?チェスはよう…、(キング)を取りゃあ勝ちなンだよォ。一歩ずつしか動けねえ(キング)は弱い駒なンだ…」


「うむ、だから拙僧らは…」


「押さえちまえば良いンだよォ、テメーを…。人質に取りゃあそれで終わりだァ!!」


 そう言うとプルチンは…、そしてハッサムが俺に飛びかかってきた。



「ヒャハハッ!痛めつけて言う事聞かせてやらあッ!」

「ぬうあアアッ!!」


 プルチンは俺を殴りつけようと、さらにハッサムは押さえつけようと迫る。


「フンッ!!ダブルラリアット!」


 それに対し俺は両腕を真横に伸ばしグルグルッとその場で体を軸にしてフィギュアスケートのスピンのような高速回転。飛びかかってきたプルチンとハッサムを吹っ飛ばした。


「おゴッ!!」

「ぐわッ!!」


 弾き飛ばされたプルチンはパミチョに、同様にハッサムはウナとマリアントワを巻き込んだ。


「ちょ、ちょっと…!?」

「何やって…」

「こ、こっち来ないで下さいましっ!」


「「「きゃああっ!!」」」


 仲良く五人とも地面を転がった。


「お前ら、記憶力が無さ過ぎだ。大した身体能力も無いクセに…ってアンフルーが言ってたろ?」


 回転を止め俺は無様な醜態を晒している奴らに向かって言い放つとプルチンはさらに憎悪を募らせた目でこちらを見ながら叫んだ。


「お、おい!お前らァッ!!」


 プルチンは周りを見回しながら叫んだ。


「コ、コイツらをやっちまうぞ!コイツら12億持ってンだからよッ、全員で袋叩きだ!山分けにしようぜ!」


「じゅ…、12億…」

「カネ…」


 ギルド内が(ざわ)めく…。


「そうだ、カネだ!心配(しンぱい)いらねえッ!これだけの人数(かず)がいりゃあ…」


 ギルド内には冒険者が五十人はいた。


「そ、そうだな…」

「これだけの人数がいるんだ…」

「それによ…同じ冒険者。喜びもカネも分かち合わねえとな」


 ぞろぞろ…。


 冒険者達が俺達を遠巻きに取り囲む。


「おいおい、いつの間に冒険者ギルドは盗賊の巣窟(そうくつ)になったんだ?おい、パミチョ。ギルドはこれを止めないのか?」


 吹っ飛ばされたプルチンに巻き込まれ床を転がったパミチョが上半身を起こしながら憎しみを募らせた顔でこちらを見ながら言った。


「や…、やっちゃってよ!コイツ…、コイツ許さない!痛めつけて盗るモン盗っちゃってよ!!」


 その言葉に冒険者達が次々に応じる声を上げた。


「12億…、こんなレベルも上がらなかった奴が持ってるのがおかしいんだ!」

「俺達が有効利用してやるぜ!」

「俺は連れのエルフ女が良いな」

「腕が立つにしてもこの人数なら多勢に無勢!」

「出入り口を固めろ!絶対に逃すな!」


 好き勝手な事を言い俺達を襲撃する腹を決めた周りの冒険者達の様子を見てプルチンがニヤニヤと笑みを浮かべながら立ち上がる。


「形勢逆転ってヤツだ…。荷物持ちィ…、テメーの何もかも奪ってやンよォォ!!」


「このクズ共が…」


「やれえッ!!」


 プルチンが大きく声を張り上げた。


 いかがでしたでしょうか?


 作者のモチベーションアップの為、いいねや評価、応援メッセージなどを感想にお寄せいただけたら嬉しいです。レビューもお待ちしています。よろしくお願いします。


 モチベーションアップの為、いいねや評価、応援メッセージなどいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。


 □ □ □ □  □ □ □ □  □ □ □ □


 次回予告。


 □ □ □ □  □ □ □ □  □ □ □ □


 冒険者達がキノク達を狙う。


 対するキノクは…?


 次回、第121話。


 『伏兵のスフィア』


 お楽しみに。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公がちっちゃいなぁ笑 ざまぁが気になるから見ちゃうけど、かっこいい主人公ではないですね。ざまぁの魅力でどこまで引っ張れるか。。。
[一言] クズ供がどうなるか非常に楽しみです。
[一言] 後半、いきなり脳内イメージがファイナルファイトになっちゃったんですが…。 ギルドの冒険者連中がベルトスクロール式に流れてきて吹き飛ばされる情景が見えたw
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