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第97話 エンペラー(皇帝)、どうしたら殺せる?


「う…」


 俺は目を開けた…。


 木々の合間から入る日の光は既にオレンジ色となっていて夕方が迫っている事を俺に認識させた。


「キノク〜!キノク〜!」


 仰向けの俺にリーンが飛びついてきた。


「キノク…」

「キノクさま!」


 アンフルーとスフィアも心配そうに俺を見つめている。どうやらアンフルーが膝枕をしてくれているらしい。スフィアは病人を見舞う家族のように俺の手を握っている。


「大丈夫かニャ!!?一時は脈も弱く止まりかけてたニャんよ!!」


「はは…、なんだそれ…死にかけじゃないか…」


 俺は笑ってみせたがどうにも体に力が入らない。


「キノク、無理したら駄目」


「そうですわ!キノクさまのポーションを振りかけて傷はふさがりましたが、たくさんの血が流れていましたし…。まだ体力は相当に失っているはずですわ!」


「血が…」


 俺はだんだんと自分に何があったかを思い出してきた。


「ご、ゴブリンエンペラー……は?」


「キノクの攻撃でアイツは倒れた。今は…」


 そう言ってアンフルーは傍らを指差す。俺がその方向に首だけを向けるとそこには仰向けに転がったゴブリンエンペラーがいた。


「俺が目を覚ますまで…どのくらいたった?」


「だいたい三十分くらいニャ!」


「奴が目を覚ます前になんとかしないと…、目を覚まされると厄介だ…」


「それならまだ大丈夫」


「アンフルー?」


「魔力枯渇による昏倒は七、八時間は意識を取り戻さない。まだ慌てるような時間じゃない」


「そうか…、だとするとまずは一安心か…。みんな、怪我は無いか?」


「多少の怪我はありますが、大した事ありませんわ」


「いや、何があるか…分からないのが戦いだ…。ポーションは残っているか?回復しておくんだ、俺はこの通り動けないしな」


「ん…。なら私はゴブリンを火葬しておく。せっかく魔力回復のポーションを使うなら消費してからにする」


 そう言うとアンフルーは俺を膝枕したまま手をかざす。何百匹…もしかすると千匹以上のゴブリンがいたかも知れない、それでいっぱいになった大穴に火の手が上がる。


「確かに戦後処理は(おろそ)かにはできませんわ。為政者であっても、このような場合であっても」


 モンスターに限らず死体をそのままにしてしまうと魔素と結びついてゾンビ化する場合があるらしい。もしこのゴブリン達がゾンビ化したら…、考えるだけで恐ろしい。


 ごうごうと音を立ててゴブリン達が燃えている。


「そうだ…、アンフルー」


「何?」


「ゴブリン…エンペラーをあの炎の中に…」


「焼き殺すのニャ?」


「ん、それはどうかと思う。アイツは生命力全耐性防御(ライフガード)のスキルの力で火に巻かれても一分あたり6ポイントのダメージにしかならない」


「まあ…、それでは焼き続けても数日を要してしまいますわ」


「いや…、狙いは…別にある」



 俺は三人に支えられなんとか立ち上がり、ゴブリン達を火葬している様子を見に行った。


「やっぱり火に巻かれてもほとんど生命力が減らない…」


 魔法によりゴブリンエンペラーを火葬する穴に放り込んだアンフルー、単眼鏡(モノクル)をつけてヤツの状態を見ていたが予想通り昏倒していてもスキル効果は現在のようだ。


「丸三日は要りませんが…それでも長くかかりますわ…。それまで大人しくしているとは思えませんし…」


「意識を取り戻したら大人しく焼かれる訳はないニャ」


「キノク、どうしてエンペラーを?」


 アンフルーが尋ねてきた。


「殺せないまでも少しはダメージを与えようと?」


「予想通りに行かなければ…な」


「予想?」


「ああ…」


 俺は自前のスタミナポーションを飲みながら応じた。


「キノクには何か考えがあるのかニャ?」


「しかし、ゴブリンエンペラーのスキルを考えると死に至らしめるには…」


 そんな時だった。


「生命力が…、激減ッ!?」


「ニャッ!?」

「なんですって?」


 アンフルーが上げた驚きの声にリーンとスフィアが弾かれたように反応した。


「生命力15236、…13081、….10997」


 ゴブリンエンペラーの生命力が減少していく。


「8214、…6321、ど、どうして…?」


「1しかダメージが与えられニャいんじゃないのニャ?」


「3629、1498、623…、0!!」


 ぼうっ!!


 ゴブリンエンペラーの体が炎に包まれた。


「あっ!ゴブリンエンペラーの体が燃え始めたのニャ!」


「どうやら…、死んだらスキルは発揮出来ないようだな」


 俺はホッと息を吐いた。


 そして一時間ほど過ぎた頃…、ゴブリン達の火葬を終えた俺達の前には大量の魔石が転がっていた。




 いかがでしたでしょうか?


 作者のモチベーションアップの為、いいねや評価、応援メッセージなどを感想にお寄せいただけたら嬉しいです。レビューもお待ちしています。よろしくお願いします。


 モチベーションアップの為、いいねや評価、応援メッセージなどいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。


 □ □ □ □  □ □ □ □  □ □ □ □


 次回予告。


 □ □ □ □  □ □ □ □  □ □ □ □


 ゴブリンエンペラーの群勢との戦いを終えてキノク達は拠点へと戻り、激闘の疲れや傷を癒す事に…。


 ネタバレしちゃいそうなので今回はこのくらいで…。

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