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五章エピローグ 再会


 朝食には遅く昼食には早い時間、いわゆるブランチと呼ばれる食事をとった俺達はこの世界における神の一柱たるオルディリンを(まつ)る神殿に向かった。


 この皇都アブクソムを今から()ってゴルヴィエル公爵領へと向かう前に神に仕えるヴァルキュリエとして神殿で祈りを捧げてから向かう事にしたのだ。


「ス、スフィア様!!今、なんと?」


 神殿で俺達を出迎えた司祭が驚き慌てたように問いかけてくる。


「今から領に戻ると申し上げました」


「え、ええ。それは分かりますが…その…徒歩でなど…、ましてや今は昼過ぎです。いくらも行かないうちに日も暮れてしまいます」


「驚く事ではありません。旅人や行商をする者も歩いて目的地に向かうではありませんか。わたくしはそれにならって帰ろうと思ったに過ぎません」


「い、いえ、それはいけません。しばらくッ、しばらくウッ!!


 完全に禿(はげ)上がった頭を真っ赤にして司祭はスフィアを押し留めようとする。しかし、スフィアはそれを固辞する。最終的にはスフィアが押し切り、俺達は歩いてゴルヴィエル公爵領に向かう事となった。


 それからしばらく神殿内で交流がある人達だろうか、スフィアは挨拶を交わしていった。そしていよいよ神殿を退出する際になり見送りに司祭以下、手の空いた人達が神殿の門まで見送りをすると申し出た。


「スフィア様、領に戻られるというのに馬車の一台も出せず言葉もありません」


「いえ、お気になさらないで下さい。わたくしが言い出した事ですから…」


「恐縮です。つきましては(わたくし)共のせめてもの気持ちとして安心して領に戻れるよう護衛と日々の食などを(きょう)しようと冒険者に声をかけておきました」


「冒険者?」


「はい。聞けば生まれは(いや)しからず貴族家の生まれ、またその天職(ジョブ)上位職(ハイクラス)どころか最上位職(ハイエスト)…いずれをとっても一騎当千。私は神殿にいるせいで世間には(うと)いのですが、必ずやご安心していただける四人組パーティかと存じます」


「まあ…、そのような…」


 司祭は先程とはうって変わり司祭は安心したような微笑を浮かべながら言葉を続けた。そして門の近くまで来ると四人の冒険者がまるで貴人を迎えるが如く地面に片膝をつき(こうべ)を垂れている。


 顔は見えなくとも俺はコイツらに見覚えがある。


「あっ、来ていたようですね。スフィア様のご高名の賜物(たまもの)か、報酬額なども口にせずすぐさま引き受けられ()(さん)じていただきましたぞ」


 司祭はスフィアと四人組を交互に見やりながら四人組の名を告げた。


「プルチン、ハッサム、ウナ、マリアントワの四士(よんし)…。新進気鋭の冒険者パーティ、高貴なる血統の方々です」

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