第六話 「あのRPG。」
―なんと、倒れたスライムが起き上がって仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間にしますか?―
(え、スライムがなんだって?)
―ピピピピピピピ―
突然、携帯のアラームが鳴った。
(なんだ、夢か―)
「新手の魔物か!?」
「いや、だから違うって!」
危うく携帯まで壊されるところだった。
「こっちの世界には、魔物とかいないから安心してよ。」
「そうなのか?平和だな。」
「平和かどうかはわかんないけど……リルドの居た世界はどんな所なの?」
「村や街の中は比較的平和だが、一歩外に出ると魔物が襲ってくる。」
「どんな魔物がいるの?」
「スライムからドラゴンまで様々だな。それらの頂点に魔王アンデュバルが君臨している。」
(本当にゲームみたいな話だな。てことは……)
「つまり、襲ってきた魔物を倒してLV上げをしながら魔王を倒す旅をしていたって感じ?」
「和馬、やはり只者じゃないな?察しがよすぎるぞ!もしや魔王か!?」
「いやいやいや、魔王だったら川に飛び込むの止めないでしょ?」
「た、確かに。しかし、何故魔王は俺を殺さずにこの世界に飛ばしたのか。」
(確かに、あのRPGでもそんな展開は無かったな。しかも、大抵のRPGは負けてもセーブ地点とかからやり直せるのに、あれは魔王に負けると何故か最初からやり直しになる鬼畜仕様だった……。)
「ん?そこにもしかしてヒントがあるのかな?」
「どうした、何かわかったのか?」
「え?あ、」
いつの間にか声に出ていたみたいだ。
「いや、意図まではわからないけど、何かしら条件を満たせば元の世界に戻れるんじゃないかなって。」
(よくある異世界物も、なんか呼ばれたりとか役目あったりとか理由があることが多いし。)
「条件……か。」
「でも、意図がわからないと条件もわからないかも?」
「魔王の意図……ますますわからん。」
(あのRPGの内容をちゃんと思い出せればもっと何か分かるかもしれないけど、あれ何て名前だったかな……。)
「とりあえず僕の方でも色々調べてみるから、リルドはまずこっちの世界の生活に慣れることから始めよっか。」
「それもそうだな。頼りにしてるぞ。」
(さて、何から教えようかな。)