第四話 「リルド、さまよう。」
―和馬が家を出てから数分後―
……
…………
………………
退屈だ。
何もしないというのは退屈だ。
ふと白い箱が目に止まったので、とりあえず開けてみた。
「冷たい!」
開けた瞬間に、中から冷気が出てきた。
「不思議な箱だ。魔法具の類か何かか?」
魔法具と言えば、持っていた剣が無い事に気付いた。
「剣でも探しに行くか。」
俺は鎧を着て、外に出た。
(何かのコスプレか?)
(凄い格好だな)
(ママ~変な人がいるよー)
(指差しちゃいけません!)
なにやら凄い視線を感じるが、これも勇者の運命か。
しかし、中々武器屋が見つからない。
仕方ない、あそこの建物の前で棒を持っている男に聞いてみよう。
「すまない、剣を探しているのだがどこかで売っていないか?」
「君、凄いコスプレしてるね?剣だったら、あそこの剣の舞っていうお店で買えると思うけど。」
「そうか。ありがとう。」
軽く礼を言い、紹介してもらった店に行ってみた。
「いらっしゃいませ~」
「ここに来れば、剣が買えると聞いたのだが?」
「うわ、凄い格好!気合入ってますね~。剣でしたら、あちらの棚にありますよ。」
棚には、色々な種類の剣が飾られていた。
「一番切れ味が良くて、刃こぼれしにくいやつが欲しいのだが。」
「えーっと、当店の物は全て模造品となっておりまして実際に切れる物は無いのですが……」
「飾り物と言うことか?俺は、本物が欲しいのだが?」
「そう言われましても、中々本物を扱っているお店は無いかと……。」
この国では剣もまともに手に入らないのか。かといって、このまま何も持っていないというのは落ち着かないし、この際形だけでも良しとするか。
「分かった。とりあえず、手頃なやつをくれ。」
「かしこまりました。では、当店人気のこちらはいかがでしょうか?」
鋼の剣に似たような剣を渡された。
「ふむ。まぁ悪くない。これにしよう。いくらだ?」
「一万五千円になります~」
エン?ゴールドのことか?
「じゃあこれで。」
「お客様、これは?」
「ゴールドに決まってるだろ。」
(この人、外国の方かしら?)
「申し訳ありませんが、そちらの物はお使いいただけません。」
「なんだと?どこの国に行っても使えたぞ?」
(逆に、どこの国なら使えるのかしら?)
「申し訳ありませんが、お金が無いのであればお引き取り下さい。」
そうして、急に態度の変わった店番に追い出されてしまった。
やはりここは元の世界とはだいぶ違うようだ。