第十八話「リルドの記憶。」
村の中央にいる村長に再び話しかけた。
『おぉ、リルドか。仲間ができたようじゃな。
なんじゃ、スライムを見ると昔を思い出すのぉ。お主とザックが初めて倒した敵を……』
画面が切り替わり、回想シーンが流れた。
青髪の少年と、黒髪の少年がスライムと対峙している。
『ぼ、僕たちだけで大丈夫かな?』
『大丈夫だ、ザック。練習を思い出せ。』
『う、うん!』
息の合った連携で、見事にスライムを倒した。
『な?大丈夫だっただろ?』
『リルドのおかげだよ!』
回想シーンが終わり、元の画面に戻った。
『その直後じゃったな。ザックが封印されてしまったのは……。
良いか、リルドよ。ザックの封印を解き、魔王を倒すのじゃ。』
セリフを終えた村長が一瞬点滅し、画面の奥へと消えていった。
「す、凄い進展じゃない?……ってリルド!?」
画面を見つめたまま、固まるリルドに気付いた。
「リルド!どうしたの!?」
必死にリルドの体を揺する。
「な、何が起こったんだ!?」
ようやく気付き、辺りをきょろきょろする。
「それはこっちが聞きたいよ!急に固まっちゃうんだもん。」
「いや、すまん。急に頭の中に色々と流れてきて……」
「もしかして、何か思い出した?」
リルドは握っていたコントローラーを静かに置き、少し息を吐いた。
「あぁ……思い出した。確かに、小さい頃ザックと一緒にいたが……
急に遠くの村に行ってしまって離れ離れになったんだ。」
「そっか……。それがショックで、忘れちゃってたのかな?」
「そうかもしれん……。」
(一人で何でもできるんじゃなく、一人でやるしかなかった……ってことか……。)
置いたコントローラーを静かに見つめた。
「じゃあこの前言ってた、旅立つ前に話しかけてきたザックって?」
「ん?あぁ、同じザックだ。和馬に似ている気がすると言ったが、今ならはっきりわかる。
そっくりだ。」
「リルドの世界にそっくりな僕……か。」
(この前見えた記憶はザックのってこと……?)
「あ!ザックと言えば、村長のセリフでもあったけど
魔王を倒す鍵はザックかもしれないね!」
「確かに、封印を解けって言っていたな!……って、どう解くんだ!」
進展しつつも、新たな謎が増え頭を抱えるリルド。
「確実に違う展開になってるから、このまま進めて行けばまたヒントがあると思うよ!」
「地道に進めて行くしかない……か。頼りにしてるぞ和馬!」
和馬の肩をポンと叩いた。




