第十七話「スライム。」
「また、振り出しか……。でも、進展はあったな。」
「そうだね。一週目とは違った終わり方だったし。
スライムを仲間にするところまでは合ってると思うよ。」
ふと、魔王の言葉を振り返る。
「”まだ足りない”ってなんだろうね?」
「仲間を作るだけではダメということか……?」
和馬は静かに天井を見上げた。
(仲間か……)
「そういえば、一つ気になったんだけど……
なんでスライムしか仲間にできないんだろうね?」
「言われてみればそうだな。村長は、”仲間を作れ”と言っていたが
最初に倒したスライムしか仲間にならなかったな。」
「……ん?」「……あっ!」
声が重なり、互いの顔を見る。
「村長が何か知ってるのかも?」
「俺も丁度同じことを思った!」
「”仲間を作れ”って、言ってた割にスライムしか仲間にできないってことは……」
「”スライムを仲間にしろ”ってことだよな!」
「うん!だから、スライムを仲間にした状態で、
村長に話しかけたら何か分かるんじゃないかな?」
攻略のヒントが見えてきたからか、共に早口になる。
「ゲームって案外楽しいもんだな!」
「でしょ?特にRPGは、こうやってヒント集めて進めてくのも醍醐味かな!
……って、元の世界に戻る方法を探すためにやってるんだけどね……。」
「そ、そうだったな……。」
互いに顔を見合わせて、同時に苦笑いを浮かべた。
「じゃあ早速、スライム仲間にして村長の所に行ってみようか。」
「そうだな!」
コントローラーを手に取り、慣れた手付きで操作する。
……
…………
ーー仲間にしますか?
ーーはい。
リルドは、仲間にしたスライムを連れて村長の元へ向かった。
大分短くなってしまいましたが、キリが良かったので第十七話はここまでにしました。




