第十六話「リルド、二度目の敗北。」
ーーなんと、スライムは起き上がって仲間になりたそうにこちらを見ています。
ーー仲間にしますか?
ーーはい。
「これで仲間になったんだな?」
「うん。一緒にLVを上げていけば頼りになると思うよ。」
(そういえばこのゲーム、なんで最初のスライムしか仲間にできないんだろう……。)
引っかかりを覚えた和馬に気づく様子もなく、黙々と進めて行くリルド。
一週目よりも明らかに進むスピードが早くなっている。
ーードラゴンが二体現れた。
「ドラゴンが二体か。こっちにも”仲間”がいるから楽勝だ!」
仲間にしたスライムと協力し、苦戦することなくドラゴンを倒した。
今までのリルドとはまるで別人のようで、思わず口元が緩む。
「ふふっ。仲間もいいもんでしょ?」
「そ、そうだな。」
ポリポリと指で頬をかく。
「あ、あのイベントシーン来るよ!」
(一週目は、崖下に落ちてHPが減った状態で強制戦闘だったけど、
今回はどうなるんだろ?)
ーーリルドは、足を滑らせた。
……が、スライムがとっさに足を掴んだ。
軽く額を打ったが、落ちずに済んだ。
《……》
「リルド危ない!」
青い髪の少年を咄嗟に掴んだ。
「あ、ありがとうザック。助かった。」
「相変わらず危なっかしいんだから!」
《……》
(ま、また?……今度は、記憶……?)
「今の見たか?スライムが助けてくれたぞ!」
「あ……、うん!見てたよ!仲間にしといてよかったでしょ?」
「全くだ!しかし、似たようなシーンを見たことがあるような……。」
(もしかして……)「小さい頃の記憶とか!?」
少し考え込む。
「いや、覚えてないな。というより、小さい頃の記憶はあまりないんだ。」
「そ、っか……」
(さっきのはリルドの記憶……?それとも……)
そうこうしているうちに、二度目の魔王城に到達した。
『再び来たか勇者よ。スライムを連れているようだが、まだ足りんな!』
ーー魔王は呪文を唱えた。
ーーなんと、仲間のスライムが消えてしまった。
「な!!こんなのアリか!?」
「こんな展開になるなんて……。」
ーーコンティニューしますか?
ーーはい。
ーー勇者リルドは、16歳となり魔王アンデュバルを倒しに旅に出る。




