第十二話「Road to Peace Guide」
-1週間後-
いつも通りカウンターに立っていると
店長に奥の部屋に呼ばれた。
「すまんが、在庫リストの書類を一緒に探してくれんか?」
「いつも、あっちの棚に閉まってませんでしたっけ?」
「それが見当たらなくてのぉ。わしは机の中を探すから、
和馬は棚を見てくれるか?」
「わかりました。探してみます。」
……
(そういえばこの棚、この前ソフト探してるときに散らかしちゃったんだった……。)
(その時に、どっかやっちゃったかな?ソフトも結局無かったなぁ。)
記憶をたどりながら、書類をかき分けていく。
「そういえば、リルドはどうじゃ?ちゃんと仕事しとるか?」
「少しづつ慣れてきましたよ~。まだ少し、言葉使いがあれですが……。」
「そうかそうか。頑張ってるならいいんじゃよ」
「あ!この間買い取ったソフトをリルドがどこかにやってしまったみたいで、
見慣れないソフトあったら教えてください!」
「なんじゃ、探し物増やしおって……」
引き出しの中を漁りつつ、ぼやく。
(ん?なんじゃ、このソフト……)
「もしかして、これかの?」
(っえ!?)
引き出しの奥から引っ張り出す。
「おぉ、懐かしいのぉ。なぜわしの机の中に入っとるんじゃ。」
「店長!ちょっと見せてください!」
持っていた書類を放り投げ、店長が手に取ったソフトを覗き込む。
「これです!先週、買い取ったやつ!」
(リルドのやつ、こんなとこに置いてたのか……。)
「そうじゃったか。それにしても、珍しいソフトが出てきたもんじゃ。」
「店長、知ってるんですか?」
「ん?そりゃぁ、店長やってるくらいじゃからな。確か、10年くらい前に発売されたんじゃが
個人が販売したものであまり知られていないマイナーなソフトじゃ。」
「そうなんですか!?」(どこかで見たことあると思ったんだけど……)
「うむ。仲間内では、確か”RPG”って略して呼んでたのぉ。」
「”RPG”!!」
霞がかっていた記憶が晴れた気がして、思わず叫んでしまった。
(そっか、略称で記憶してたから気づかなかったんだ!)
「どうしたんじゃ、急に!?」
「すいません、つい……。ちなみにそのゲーム、主人公はリルドって名前じゃ?」
「おぉ、そうじゃった、そうじゃった。リルドじゃった!
……そういや、和馬のー」
「このソフト買い取らせてください!」
店長が何か言いかけていたが、それどころじゃなかった。
「さっきから変じゃぞ和馬?」
「す、すいません……。ずっと探してたソフトだったんで……。」
「なんじゃ、そうじゃったのか。そんなに欲しいなら持ってって構わんぞ。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
深々と頭を下げる。
(これをリルドにやらせれば、何かわかるかもしれない!)
妙に、鼓動が早くなっているのを感じた。
今回、リルドは登場しませんでしたね。
きっと、ちゃんと店番をして……たんでしょう!




