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54話 考えごとをしながらでも勝てちゃう……?



引き続きよろしくお願いします〜



神様というのはたまに、どこかで見聞きしていたとしか思えぬほど、奇跡的な巡り合わせ運んでくるらしい。


試験実行本部から貰った対戦相手通知書を、俺は何度も見返す。

そこには、たしかにモニカさんの名前が記されていた。


彼女は、もし当たるようなら運命だと言っていた。


二人でパーティーを組んでほしいだとか、胸にぱふぱふ沈められたことだとか。


自然、先のやり取りや感触が返ってきて、耳たぶが熱くなる。


「ヨシュア・エンリケ様。出番は次です。どうぞ、西側コーナーへ」


そこを、係員にこう呼び止められた。

恥ずかしいったらなかったが、向こうは仕事、気に留められてもいないらしい。


落ち着き澄まして、応じる。


会場は、ギルドに併設された大きな競技場だ。

一階部分が模擬試合のフィールドとなっており、その周りを囲むように、五階までの観客席が設けられている。


参加者の控え室は、一階のフィールド外に位置していた。

俺は案内された通り、裏手の廊下を渡り、西コーナーへと向かう。


やや早足で歩いていると、地面がきらり光る。


「……こりゃあ物騒だな」


まきびしだった。


手袋をして、一つを拾い上げてみれば、鋭利な刃。加えて、雷魔法がかけられているらしかった。


たまたま落ちているような代物ではない。


俺は、あたりを天井まで含め、一周警戒する。


(……まだ、狙われてる………?)


団体試験の際、徒党を組んで邪魔をしてきた連中の仕業だろうか。


一応、試験官たちには報告をしていたが、その後の処分がどうなったかまでは知らない。


「ヨシュア・エンリケ様、第一試合。すぐに出番です」


もしかすると、他にも仲間がいたという可能性だってある。


色々と思い巡らせながら、試合会場へと出ていく。

大きな声援が耳をつんざくが、一音一音までは分からないため、逆に集中できた。


「両者、定位置についてください。いざ尋常に、はじめ!!」


目的はなにだろう?


ここまでしつこく狙うのだから、その場限りの恨みというわけでもあるまい。


「なんだ、お前? 早くその短剣、抜けよ。

 敵わねぇと思って、諦めたか。情けねぇなぁ」


対戦相手がなにやら高笑いをしていた。


うるさいがなり声だ。まったくもって思考の邪魔である。


「へへっ、俺様のランスがお前を一瞬で戦闘不能にしてやるっ!! …………へ?」


今は、こんなやつを相手にしている場合ではない。

早いところ黒幕を突き止めて、対処しなければなるまい。

場合によっては、試験会場全体が危険にさらされてしまうこともある。


なんて考えていたら。


「ぐ、ぐわぁっ!!」


いつのまにか、相手が俺の前で膝をついていた。


…………どうやら、本能的な反応だけで、倒してしまったらしい。


「ゆ、油断させる作戦だったのか!? 卑怯なことを!」

「あ、いや……すいません。今気づきました。懐に入られたので、ついやっちゃったみたいで。えっと、立てます?」

「ふ、ふざけるな!!」


ものの数秒での決着であった。壊れた大ランスが、地面に転がっている。


観客席が大いに沸く。


ニューヒーロー誕生か!? レベルがちがう! 伝説的な速さの決着だ! なんて声が溢れる。


…………目立っちゃダメだ、ってローズさんに言われていたのに。


やっちゃったみたい☆

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