50話 二次試験開始! 妙な奴らに囲まれたんだが?
引き続きよろしくお願いします
団体部門の二次試験は、また場所を変えて行われることとなった。
集合場所に到着して見渡してみれば、えらく数が減っている。
はじめの1/10程度、50組ほどになっていた。
Aランクのサポーターを連れていた者、幸運スキル持ちだと騒いでいた者。
どちらも、その姿を消している。
「やっぱり一筋縄じゃいかないみたいだねぇ。ヨシュアさんがいなかったら落ちてたかも……」
「そんなことないですよ。モニカさんの実力です」
実際、そうだろう。
彼女の協力あっての、最速通過であった。それを評価してもらえたわけだ。
俺やミリリが単独行動を取っていれば、たぶん今ここにはいられなかった。
再び、試験官がその姿を見せる。
イベントごとで浮かれ気分なのか、なぜか衣装チェンジをしていたのが鼻につくが、もちろん言えない。
「二次試験は、ここ『深闇の森』で行います。
今回は、フィールド内の各所に魔石を仕掛けさせてもらいました。
場所はお渡しした地図に示しています。数は10こ。これを制限時間内に、手にしてください。
今回の制限時間は、一時間です。
ルールは、以上。
今回については、協調性が必須の試験であるため、クリアしたパーティーは全員通過といたします」
……おいおい。50組もいるのに、合格への切符は、10枚ときた。
そもそも、『深闇の森』は上級ダンジョン。ツクヨ池とは広さも魔物のレベルも格が違う。
Bランク冒険者でも、敵によっては苦戦が予想された。
全部が獲得されることさえ、保証されていないわけだ。
反発を見せる参加者たちを、またしても無視。
問答無用で、火蓋が切って落とされる。
一次試験とは正反対、俺たちは、まず走り出した。
「ヨシュア、モニカさん! どこ向かおっか」
「ま、一番人がこなさそうな場所がいいなぁ」
意地の悪い試験である。
ただ魔石が台に置いてあるだけとは、考えづらい。
なにか、仕掛けがあるに違いなかった。
となれば、他パーティーとの奪い合いという展開は避けたい。
「じゃあ森の西端、とか? ちょっと奥にあるから、魔物は強力かもだけどぉ。チャンスあるんじゃないかな」
モニカさんの案に、俺たちは頷き合う。あとはどうにかして、少しでも早く先へいく。
そんな算段だったのだが、
「きゃっ!?」
少しののち、モニカさんが躓く。
「大丈夫ですかーーーー」
彼女の腕を引き上げてから、気づいた。
その足元が、不自然に削れている。
さらに勢いよく矢が刺さったので、俺はとっさに『水壁』を発動。
パーティー全員を包めるだけのガードを固め、飛んできた方を睨み付ける。
目出し帽のようなものをかぶったおっさんが、次なる矢を引いて、不適に笑う。
横からはパーティーメンバーらしき人も現れる。
「坊ちゃんたちは家に帰ろうな? こっから先には行かせねぇよ。魔石は、ワシらがいただく!」
「文句ないよな? 試験官も人の邪魔をしちゃいけないなんて言ってなかったぜ」
……そういえば、そうだが。
妨害はともかく、危害を加えてよいとまでは聞いていない。
冒険者たる者、最低限守るべきルールだろう。
「ヨシュアさん、見て。後ろにも……!」
モニカさんの指の先、目出し帽野郎の背後には、数組のパーティーだ。
「へっ。同盟を組んじゃいけねぇとも、ワシらは聞いてないわけだ」
「卑怯だ〜!!」
ミリリが訴えるも、返事代わりとばかり、遠距離攻撃が飛んでくる。
「一位抜けしたパーティー、ワシらが潰させてもらう!!」
「ローズ伯爵と懇意にしやがって! くそ、許さん!」
私情が乗っかりまくりだけど、いいの?
なんにせよ、戦うしかないらしい。




