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43話 【side】レンタル冒険者を憎むもの。



今回も視点は、こちら側です。






追放を受け、サンタナは実家領を離れる。


まるであてがなかった。

魔物にやられた時のまま、ぼろぼろの冒険者衣装で町から町を伝い歩く。


経由せざるを得ず、元いたヤマタウン近くを通過した時だった。


「お前か、偽レンタル冒険者を名乗っていたっていうサンタナで間違いないな」


とある男に、声をかけられた。


「ホセ子爵家出身って話だが、思ったとおりの坊ちゃんだ。さらさらの金髪なんてよ。……しかしそれにしては、随分な汚れようだな」

「僕に返事をする義理があるかい?」

「ふん、まぁないな。だが、ここは一つ聞かせてくれや」


よく筋肉のついた身体に、傷の入った額。


そこそこの実力者であるのは、その出で立ちから、すぐに分かった。

悔しいが、今は太刀打ちが効かなかろう。


サンタナは黙って、続きを待つ。


「お前のことは調べさせてもらった。それなりに詳しくな。お前、本物のレンタル冒険者のことも、知っているな?」


無視できない話に、眉がぴくりと動く。


「……少しなら知っているよ。いや、詳しくさえ知っている」


「おぉ、坊ちゃん。そいつは朗報だ。

 ワシのボスが、そのレンタル冒険者ってのを、まぁ憎んでるらしくてな。

 でも最近、やたら強いのが仲間に加わったって話で、仕掛け損ねてるそうなんだ。

 ヨシュア・エンリケ、とか言ったか」


「…………僕の元パーティーメンバーの一人だ」

「そこも調査済みだ。そこで、話があるんだ」


暑苦しく肩を組んできて、にぃと悪い笑みを浮かべる男。


「詳しく、話を聞かせてくれや。その男のことをな」

「そいつは構わないが……」


ここで、サンタナの頭には邪な考えがもたげた。


復讐を果たせる機会が、思いがけず転がり込んできた格好だった。


とんだお門違いなのだが、サンタナはヨシュアを憎んでいた。


自分がこのような憂き目にあったのはヨシュアのせいだ。あいつさえいなければ、こうはならなかった。


ありえない、もしも、に想いを馳せていたのだ。


「僕も君たちの計画に加えてくれないかな」


愚者の曇った目には、一寸先に潜む闇さえ映らない。




引き続きよろしくお願いします!

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