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42話 【side】サンタナ、ついに実家を追放される。【三章終わりです】



引き続きよろしくお願いします

サンタナは町民たちにより、その地を治める男爵家へと突き出されていた。


「僕は! 君たちのトップが依頼をかけてきたから、しょうがなく受けてやったんだ!

 僕を捕らえることは、主への不敬にあたるぞ!? それに、僕は子爵家の出だ!」


四肢を拘束され、よく動くのは口のみ。


はじめこそ戯言だと取り合わなかった警ら隊だが、もし本当だったらば、恐ろしい。


上長へ相談したところ、サンタナの処分を変更することとなった。


(やはり、僕は救われるんだな! ははっ。僕の身分の高さゆえだ!)


この時点で解放されることを確信していたサンタナだったがーーーー


「な、なぜだ! どこへ行く!」


連れて行かれたのは、思いがけず男爵領の外だった。

あまりに喚くため、目隠しを巻かれ、口を塞がれる。


やっと解放されたと思えば、とある一室に詰められていた。


サンタナは、歯を強く噛んで、叫び上げる。


「貴様ら! 僕を誰だと思っている! 僕は子爵家の出身でーーーーー」


が、すぐに気づいた。

見慣れた景色だったのだ。この場所は、何度も来たことがある。

生まれた頃から、何度も。


「サンタナ、黙りなさい」


後ろからよく知った声がした。

嫌な予感が、肌を這う。ぎこちない動きで首を振って見れば、


「…………ち、父上! どうして、僕は実家に」

「サンタナ。お前の身柄を引き取ったのだ。男爵殿から、おまえがやってきたことは全て聞いたよ。

 神獣を傷つけ、町民を脅したそうだね。

 その前に、冒険者仲間へ暴力を加えようとしたことも耳にしたよ」


男爵家の当主は、既にサンタナを売り渡していたのだ。

犯罪を隠してやる代わりに、ホセ家へ金銭を要求したのである。


いうなれば交渉道具とされたわけだ。


自分の息子が悪事を犯したとなれば、ホセ子爵家も黙っていない。

口止め料をたんまり男爵へと払い、サンタナを引き取った。


「言い訳はないな? サンタナ」


サンタナの父、ターメルは極めて穏やかな顔をしていた。

だが、こういう時の彼が一番危険ということは、息子であるサンタナが最も承知している。


「ち、違うんです、僕はちょっと不運に見舞われただけで。そうだ、そもそもヨシュアとかいう馬鹿無能が悪いのであって僕は……」


「私はいつか言ったはずだ。お前が成果を上げているうちは、冒険者としての活動を認める、と」


「じ、じゃあ僕へ実家に戻れと?」


「戻すわけがないだろう! 自分が何をしたか分かっているのか!」


父、ターメルの怒りは、収まるところを知らなかった。


貴族たるもの、その地位を維持するために最も大切なのは、品位や風評。

少なくともホセ家では、代々そう考えてきた。


そのどちらをも、彼は損なったのである。


当主の立場として、看過してはおけない。


「お前には兄弟もいる。残念だが、サンタナ。お前には、ホセ家を出て行ってもらう」


「そ、そんな! 僕はこれまで、どれだけ家に貢献してきたと思っているんだ! クソ親父め!」


「御託はそこまででいい。それ以上喚くようならーーーー」


ターメルは、腰に下げた剣を高く天井へ振り上げる。


それが合図であった。

部屋の四隅にあった扉から、衛兵が飛び出てきて、サンタナに武器を向ける。


「殺されたくなかったら、出ていけ。胸につけた、ホセ家のバッジは返すんだな。

「く、くそ…………! なんで僕が……!」


負け惜しみをこぼしつつも、サンタナに取れる選択肢は逃げ出すことしかなかった。



かくしてサンタナは、唯一手元に残っていた、地位も名誉も全てを一挙に失ったのである。






三章終わりです〜!!(どんどんぱふぱふ)

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[一言] サンタナは、歯を強く噛んで、叫び上げる。 「貴様ら! 僕を誰だと思っている! 僕は子爵家の出身でーーーーー」 自分の息子が悪事を犯したとなれば、ホセ伯爵家も黙っていない。 ひょっとし…
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