36話 【side】サンタナ 魔物だと早とちりして、神獣をメッタ斬りにする。
引き続きよろしくお願いします!!
「愚かな平民だったな、全く。僕にちょっとよくしておけば、簡単に疫病など鎮めてやったというのに」
負け惜しみは、止まらなかった。
町での蛮行を咎められ、追い出されるようにしてサンタナは夜道を歩く。
地理感の一切ない土地だ。
当然、どこをどう歩いているかもすぐに分からなくなる。
山道を彷徨い歩くサンタナ。
あれよのうちに、どんどん暗闇はその深さを増していく。
勾配の上下も掴めず、いよいよ遭難しかかっていた。
「……なんだって言うんだ。こうなったら山でも燃やしてやろうか」
どうにも、むしゃくしゃとした。
怒りにより魔力のコントロールが乱れる。
灯りがわりだった火属性魔法の勢いが、勝手に増した。
蠢くものが、視界に入る。
「な、なんだ……!」
ぼんやりと、その姿は揺らめいていた。
サンタナは恐れ慄き、足を木の根にひっかけこける。
絶望感を覚えつつも、その蠢く物体を見やった。
実に、厳しい見た目をしていた。
大きな二本の角が頭からは立派に伸び、たっぷりの白髭を蓄えた、獣。
それそのものが、不安定に弱々しく光っている。
見たことのない風体だった。
本来ならここで、様々な可能性を考えるべきところだが…………
サンタナは、すぐさま決めつけた。
「珍しい魔物、か。ちょうどいい。こいつが疫病の原因だったことにして、町に戻ろう。
はっは、これで僕は一躍英雄に返り咲きというわけだな」
その獣は、すでにかなり弱っていた。
幸運だとばかり、めったぎりにする。
しかしなかなか倒れなかったため、角だけを刈り取る。
道が分からず、朝を待ってから町へ降りた。
「はは、みろ、凡人ども! 僕が、恐ろしい魔物を退治してやったぞ!!」
大歓待を受けるはずだ。今度こそ、あの町娘だって、ものにできる。
そうほくそ笑むサンタナだったが、
「な、な、な、なんてことを!!!」
町民の反応は期待とは真逆のものだった。
シワだらけの顔にさらに彫りを刻み、老人がしわがれた声で嘆く。
「その角は、神獣・白老狼さまのものじゃないか!? 森を司っている神だと言われているのじゃぞ!」
「は、は、神獣?」
そんなこと、知る由もないサンタナである。
言われてみれば、魔物より神々しく、神聖さがあった気がするが…………。
いや、認めてなるものか! あれは魔物に違いない!
「ふ、ふさげるな! 僕は善意で倒してやったんだぞ!」
「誰が頼んだというんじゃ!」
老人の憤慨は、もっともだった。
「白老狼さまが瀕死の状態となると、さらなる災いが起きるぞ……………! 水は汚れ、大地に瘴気が満ちかねん。なにせ、山は白老狼さまの命と結びついておる……。
えぇい、皆のもの! ひとまずこの者を捕らえよ!」
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